常温核融合の初期の再現実験(とくに日本での)を振り返ると
常温でも核融合・核変換を起こせる方法(中性子のこと)は、
トウの昔に知られているのにもかかわらず、
それを無視して再現実験を繰り返していたようです。
何があるかわからないから、
再現実験をすることが手っ取り早いというわけですね。
あるいは研究者の多くは、再現実験を繰り返すことで、
何か核反応の触媒が見つかると考えたのかもしれません。
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触媒の定義を振り返ります。
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普通、触媒は、化学反応で用いる。
ある触媒はある化学反応に必要な活性化エネルギーを低下させる
そのため、低い温度でも、その反応が起きるようになる。
したがってその化学反応の速度が速まる。
活性化エネルギーとは、要するに分子の運動エネルギーで熱のことである。
具体例としては、ある程度物は熱しないと燃えないということである。
活性化エネルギーを燃焼でもう少し詳しく見てみる。
燃焼の場合、酸素と燃料は分子の形をしている。
まず、活性化エネルギーで酸素分子と燃料分子がばらばらになり、
その後、酸素原子と燃料原子が化合して、
活性化エネルギーと燃焼熱を放出する。
化学反応の前後でのエネルギーの収支は
触媒を用いようが、用いないでおこうが、同じである。
つまり、化学反応の前後で放出されるエネルギーの総和は、変化しない。
活性化エネルギーは、反応前に追加されるが、反応後に引かれるから
収支はプラス・マイナス・ゼロだからである。
触媒は、その表面の原子構造の特定の部位(活性サイト)に、
反応させたい物質が吸着・配位することで効果を発揮する。
つまりそこに反応物質があると、
たとえだがリンゴが皮をむかれたような活性化した状態になる。
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常温核融合で期待される触媒とは、
「水素原子核・陽子・水素イオンを、中性子にしてしまう触媒作用」です。
(ここでは、重水素原子核を核融合させる触媒作用は考慮しません
理由は、重水素と重水素の核融合の必要エネルギーが23.8MeVであり、
中性子になる必要エネルギーが0.78MeVであり、
どちらが現実性があるかというと、中性子になるほうだからです。)
化学触媒で説明した、「反応の前後でのエネルギーの収支は
触媒を用いようが、用いないでおこうが、同じ」という原則で考えると
中性子になるということを反応のゴールに選んでも意味はない。
選ぶべき反応のゴールは、核変換をするということである。
つまり、 「水素+材料 => 核変換した材料 + エネルギー」
としなければならない。
陽子と電子がある触媒(ニッケルやパラジウム)の上に乗ると、
比較的低い温度でも、電子と陽子が中性子として扱われ、
原子核に吸い込まれ、反応後の核変換した材料とエネルギーとなる。
というふうに、考える必要がある。
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話を戻すと、
中性子さえあれば、常温核融合は既存物理の周知の事実でしかない。
であれば、
(1)中性子を作る装置とそれを吸収発熱反応させることを
真面目に考えれば、普通の常温核融合炉が
<<< 追記
普通の金属の原子核に中性子を取り込ませると、
いろいろな変化をすることが調べるとわかります。
例えば金(Au)の例が、Wikipediaの中性子捕獲項に出ている。
197Au + 中性子 => 198Au(励起状態)
=> 198Au(基底状態) + ガンマ線 [ガンマ崩壊]
=> 198Hg + 電子 + 半電子ニュートリノ + 0.78MeV [ベータ崩壊]
この金の例では、核融合(核種変換)で得られるエネルギーは、
ガンマ崩壊のガンマ線(エネルギー量はまだ不明)だけである。
なぜ、ベータ崩壊の0.78MeVを含めないかというと、
これは、常温核融合の最初の段階にて
水素を陽子と電子に電離した後に、
同じ0.78MeVを使って中性子を合成したときの
借用金を返済したことになるからである。
(水素を電離するエネルギーとかは、ガンマ線に
比べると1000分の1以下なのでここでは無視している)
[ガンマ崩壊]:
中性子で不安定(励起状態)になった核がガンマ線を放出することがある。
このガンマ線のエネルギーは、さまざまである。
一例がWikipediaのガンマ線項に出ている。
81Krで、0.275Mev,
88Krで、0.027Mev - 2.3MeV
ガンマ線なのでかなり大きい数値である。
>>> ここまで
(2)炉の改良として、これまでやってきた「常温核融合実験」の
成果とその延長で常温核融合の触媒を探す。
この二面作戦をとってもいいのでは、と思いつく。
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