常温核融合の基本は中性子の作成技術?
昨日の記事「Defkalion社訪問サマリの訳」
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/defkalion.html
では、常温核融合装置、E-Catや Defkalion では、
「水素から仮想中性子を作りそれをニッケルと反応させる」
を訳しました。
「中性子をどうやって作りうるか」がポイントです。
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Wikipedia日本語版の中性子には、
「自由な中性子は核分裂反応からのみ得られ、自然界には存在しない。」
という事が書いてありますが、、、。
Wikipediaのレフリーには、科学的な記事において、
このような成立範囲を明言しない断言文を、
排除してもらいたいものですね。
(「自然界」を「常温常圧ではまず存在しない」が好ましい)
話がそれてしまったので戻します。
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昨日の記事から常温核融合は、
中性子の作成技術が重要だとわかってきました。
中性子を使えば、核融合(正確には核種変換)を
簡単に起こせるからです。
中性子は、水素(含む重水素)から微量だけど作れるというのが、
常温核融合の主張です。
だから、常温核融合は反応全体としては、
水素と他の原子核の核融合といえます。
そして、微量だけ中性子を作るので、
燃焼反応程度に穏やかに熱を取り出せるのです。
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水素原子は、原子核に陽子一個と電子一個からできており
普通は水素分子 H2 として気体状態です。
報告されている常温核融合装置 E-Cat の数値から、
石油燃焼反応程度の熱を出すには、燃焼と同じ時間で
水素原子の一部(100万個に一個)が中性子になるようです。
つまり、100万個に一個を一定時間(数秒とか数分で)
どうやって中性子にするかです。
その方法は、水素分子を励起して、電子のエネルギーを増加させる。
そうすると、普通は電子がどっかに飛んでいくのですが、
どこにも行かないよう閉じ込めておく。
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もう少し、一夜づけの物理学の基礎知識で考えて見ます。
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中性子崩壊の式では、
単体の中性子は、陽子、電子、反電子ニュートリノ、
エネルギー 0.78Mev に崩壊(ベータ崩壊)します。
水素原子を中性子にするとは、この逆反応です。
<<<追記
陽子と電子を衝突させると中性子になるか検索したところ
なるという記事を多数見つけました。
反応式は
陽子+電子+衝突時運動エネルギー 0.78Mev = 中性子 + 電子ニュートリノ
です。
つまり、反電子ニュートリノを必要としません。
>>>ここまで
中性子崩壊エネルギー 0.78Mevは、加圧と温度加熱と
電磁波の印加で近い程度まで可能かというと
可視光線のエネルギーは、数ev(1.9 - 3.1)です。
紫外線でもこの数倍から40倍ぐらいです。
エックス線は、紫外線の 10倍です。
つまりエックス線は、可視光線の400倍。
ガンマ線は、電気的な方法(電子軌道と電子の励起)で
発生させることはできません。
一般には、原子核の崩壊や中性子の崩壊で
ガンマ線が発生します。
0.78Mevは、可視光線の約30万倍です。
ガンマ線といわれる領域の光の持つエネルギーです。
古典力学の常識では、0.78Mevを与えることは、
不可能なのですが、まったく不可能というわけでもありません。
<<<追記
次の記事で紹介しますが、シンクロトロン加速器を使えば可能です。
しかも、0.78Mevは、医療用の加速器の出力の10%程度以下です。
つまり、簡単に加速できます。
>>>ここまで
不確定性原理によるトンネル効果で、一縷の望みがあります。
また、熱エネルギー(粒子の運動エネルギー)の
偶然のぶつかりでも一縷の望みがあります。
<<<追記
この「一縷の望み」は、偶発性ともいえます。
これまで、常温核融合の実験の再現性の悪さは、
この「一縷の望み」に頼っていたからと推測できます。
>>>ここまで
なにせ、100万個に一個の発生確率になればいいのですから。
水素原子の電子は、加圧と温度加熱と電磁波の印加で
高エネルギーとなり、不確定性原理によるトンネル効果や
熱エネルギー(粒子の運動エネルギー)の偶然のぶつかりで
陽子と反応して中性子になりうる。
または中性子的に解釈できる準量子状態がありうるのではないか。
または、局在プラズモン共鳴などで、
強力なエックス線が出てくる可能性があるのではないか。
<<<追記
プラズモンについてざっと調べましたが、
せいぜいエックス線が出てくるぐらい
(恒常的安定的に測定できるものはという意味です)で、
0.78Mevのガンマ線領域に届くことは、非常にまれであるか、
量子力学からの要請であるバッドギャップ理論から推測すると
ガンマ線はありえないということになります。
さらに追記です。
熱・つまり原子・分子の運動エネルギーで
0.78Mevに相当することはあるのかということですが、
摂氏1000度程度ではありえません。
Wikipediaの中性子線の項によれば、
中性子(陽子とほほ同じ質量)で絶対温度300度での
運動エネルギーは、0.025eVです。
摂氏1200度で0.1eVです。
0.78Mevは、実に780万倍です。
つまり、普通に考えるとまずありえないのですが、、、
運動エネルギーで可能性があるとすれば、
ニッケルナノパウダーの一粒のニッケル原子数が100万個であることです。
ニッケルの原子核の重さは陽子のおおよそ58倍であることを思い出します。
だから、1000度のニッケルパウダーが水素を吸着しており
それが、気体粉塵として互いに正面衝突したとき、
ニッケルパウダーの衝突先端のあった水素の受ける衝撃は
ちょうど0.78Mev前後に相当します。
もしかするとこれ(水素吸着ニッケルナノパウダー衝突)が、
中性子を作り出す具体的なプロセスかもしれません。
>>>ここまで
これが今の時点の物理理論からの推測です。
頭の固い物理学者であれば、
100万個に一個の発生確率のものを追求したことがないので
そんなものないと斬って捨てられそうですが、、、
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常温核融合に比して、熱核融合では、常温常圧の実験室に
超超高温・超超高圧のトカマク型磁気チャンバーを据えて
閉じ込めた大量の全部のヘリウム原子核を
その強力な電気力に逆らって
同時に核融合させようというものですから、
その無理筋度合いは、とてつもなくあります。
だから、数兆円の予算を何十年も使ってもできないのでしょう。
数兆円の予算を勝ち取る政治的才能はすごいですが、
はたから見て相当な無駄遣いの気がします。
<<<追記
物理学の発展の歴史と原子力兵器の発展の歴史がシンクロしています。
最初に原爆(ウラン核分裂)を作り、次に水爆(重水素核融合)をつくった。
その科学者だちにしてみれば、
原爆の平和利用で核分裂原子炉を作り、
次に重水素核融合の原子炉を作ることは、
確かに兵器開発技術者としては自然な流れですが、
もう50年以上続けて実用化の目処が
まったく出ていないのですから、
科学者としては頭が固すぎるといえます、
もうあきらめる必要があります。
それよりも、水素から中性子をつくり
普通の物質に反応させて核融合をするとか核変換をする、
これは、普通のプラズマを使いすぐ実現できる
手を伸ばせばいますぐ届く技術です。
こちらの研究をするほうが、
人類全体の役に立ちそうです。
「過ちては則ち改むるに憚るなかれ(論語)」
リーダーである大学者ほど謙虚に自分の失敗を認めなければなりません。
過ちをみとめられない人は、他の人が気づかないとでも思っているのでしょうか。
大衆はその欺瞞をすぐ嗅ぎ分けます。
なにせ態度から悪臭がしますから、
そういう人は、たとえどんなに他に正しいことをしていても
その一回の嘘や隠蔽で軽蔑されすぐ忘れ去られます。
>>>ここまで
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昨日の記事には、「Widom Larsen theory」が出てきました。
これからこのWidom Larsen theoryを調査しようと思います。
その前に予備調査として、以下のキーワードを調べた。
主に Wikipedia日本語版 を参照した。
[Wikipediaをよむときの注意]
科学記事は、内容が断片であり、わかりにくい。
とくに、数学的定義を前提を省いて中途半端に記述してあり判りにくい。
しかも肝心のことが大抵の場合抜けている。
だから、全体像を別の読み物で得ておかないと記事の理解は難しい。
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[[[記事とメモ]]]
(メモは、自分なりに理解できるようまとめてみました。)
-トンネル効果 -
素粒子が常識では起きない現象を不確定性原理により、
一定の確率で起こす現象。
電子のトンネル効果は原子数百個分の大きな距離でも起きる
(エサキダイオード、フラッシュメモリ)
どの程度の確率なのか計算する方法がわからない。
- 不確定性原理 -
素粒子の位置と運動量の積は、プランク定数hに制限されるということ。
素粒子は同時に複数の状態と位置を確率的比率で持つ。
分子サイズ以下では、この確率的影響が強く出てくるので、
日常生活とはかけはなれた現象(トンネル効果)が起きる。
- 陽子 -
原子核を構成する素粒子、電気的に+
- 電子 -
原子を構成する素粒子、電気的に-
- 中性子 -
原子核を構成する素粒子、電気的に0
原子核中の中性子は、寿命がほぼ無限
単体の中性子は、寿命が短い、平均寿命約15分
単体の中性子は、陽子、電子、反電子ニュートリノ、エネルギー 0.78Mev に崩壊
(ベータ崩壊という)
中性子は電気的に0で透過性が高く、
+電気の原子核に容易に衝突できるので核種変換できる
中性子が他の原子核と衝突するまで移動する距離を
平均自由行程 (mean freepath) という
平均自由行程空気中で220m、軽水の場合は0.17cm、
重水では1.54cm、ウランでは0.035cmである。
- 反電子ニュートリノ -
電子ニュートリノの反粒子。
質量非ゼロだが、非常に小さい 2.5 ev以下。電荷 0。
- 可視光線 -
波長 380-750 nm エネルギー 3.26 - 1.65 eV
- 紫外線 -
波長が10 - 400 nm
- エックス線 -
波長が1pm - 10nm程度の電磁波。軌道電子の遷移を起源とするものをX線
- ガンマ線 -
エックス線より短い光。
原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものをガンマ線。
中性子崩壊のエネルギー 0.78Mev の光子は ガンマ線。
- プラズマ -
プラズマ(plasma)は固体・液体・気体につづく物質の第四の状態、電離した気体。
実験室内で古くから真空放電の研究に伴って観察されていた。
- 電子軌道 -
原子核の周りを回る電子の軌道のこと。
原子の種類で、軌道の数と位置が決まる。
電子が軌道を変わると、その差のエネルギーを光として吸収したり放出する。
光は、可視光とか、紫外線とかX線になる。ガンマ線にはならない。
- 原子核 -
原子の中心にある核、原子は電子と原子核から構成される
- ベータ崩壊 -
中性子の崩壊を含む一連の電子または陽電子を放出する崩壊のグループを言う。
- アルファ崩壊 -
大きな原子核から、陽子二個中性子二個からなるアルファ粒子(ヘリウム原子核)が
ある確率で極くまれに飛び出す現象。
(不確定性原理、トンネル効果である)
- アルファ粒子 -
陽子二個中性子二個からなるアルファ粒子(ヘリウム原子核と同じ)
- フェルミ粒子 -
クォーク(陽子や中性子をさらに分解した素粒子)と
レプトン(電子やニュートリノなど)を含む素粒子のグループ
- ボース粒子 -
ゲージ粒子(光子、ウィークボソン、グルーオン)と
スカラー粒子(ヒッグス粒子)のグループ
- 素粒子 -
フェルミ粒子(クォークとレプトン)、
ボース粒子(ゲージ粒子、スカラー粒子)をまとめて素粒子という。
陽子や中性子は、クォークでできているので、今は素粒子といわない。
- ハドロン -
素粒子(フェルミ粒子とボース粒子)から構成される粒子。
代表例は、バリオンの核子の陽子と中性子。
構成されるが、めったなことで分解することはできない。
バリオン/ハイペロンと中間子/クォーコニウムの2グループがある。
- バリオン/ハイペロン -
核子(陽子、中性子)・反核子 その他に分類される。
- 中間子/クォーコニウム -
π・ K・ ρ などに分類される
中間子は、陽子と中性子を電気斥力に逆らって
原子核としてつなぎとめるとても強い力を持つ。
- 複合粒子 -
ハドロンと異種原子とその他(原子核・ハイパー核・ダ
イクォーク・原子・分子・イオン・超原子・超分子)のグループ
不確定性原理の影響が強く現れる極微の世界の粒子。
- 準粒子 -
複合粒子に準じた扱いが可能なもの、不確定性原理の影響が強く現れる。
ダヴィドフソリトン・励起子・マグノン・フォノン・プラズモン
・ポラリトン・ポーラロン・ロトンに分類される
- 励起子 -
準粒子の一種、エキシトン、半導体又は絶縁体中で電子と正孔の対が
クーロン力(電気力)によって束縛状態となったもの。
- クーロン力 -
電気力のこと。荷電粒子(+,-)間に働く力。
- マグノン -
マグノン(magnon)は、結晶格子中の電子のスピンの構造を量子化した準粒子である。
- スピン -
量子力学、量子化学上の粒子が持つ性質の一つで、磁性に深く関わる。
- フォノン -
結晶格子中での原子やイオンの振動を量子化した準粒子
- プラズモン -
プラズモン(plasmon)とは、金属中の自由電子が集団的に振動して
擬似的な粒子として振る舞っている状態。
金属ナノ粒子ではプラズモンが表面に局在する。
- 局在プラズモン共鳴 -
表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)ともいう。
金属ナノ粒子で、光電場とプラズモンがカップリングして光吸収が起こる現象。
局所的に著しく増強された電場も発生する。
つまり、光エネルギーが表面プラズモンに変換されることにより、
金属ナノ粒子表面に光エネルギーが蓄えられる。
さらに、光の波長の回折限界より小さな領域での光制御が可能となる。
- 電場 -
電場(または電界)(Electric field)は、電荷の周りの空間で他の電荷に
力を及ぼす空間の性質のひとつ。
クーロンの法則、マクスウェル方程式の世界。
- 光エネルギー -
電磁波である光子がもつエネルギーを指す。
E = hν = h c/λ
h : プランク定数
E : エネルギー
ν : 振動数
c : 光の速さ
λ : 波長
- 量子 -
量子(quantum)は、1900年にマックス・プランクが
発見・提唱した物理量の最小単位。
古典力学では考えられなかった不連続な量であり、
物理量はこの最小単位の整数倍をとることになる。
- 量子化 -
量子化(Quantization)とは、ある物理量がある最小量(量子)の整数倍になること。
微小世界では、物理量は、ある最小量の整数倍でしか変化しないことが普通である。
量子化により、連続的物理量が、細かく見ると離散的なものであると理解され、
微小世界ではそれが波であると同時に粒子でもあるという性質がみてとれる。
つまり、微小になると粒子でなかったものが粒子の性質を持つ。
数学的には、ある物理量の場の理論を量子状態に作用する演算子として
再定義することである。
- 古典力学 -
古典力学(Classical mechanics)は、量子力学が出現する以前のニュートン力学や相対論的力学。
- 量子力学 -
量子力学(quantum mechanics)は現代物理学の一つ。
古典力学で説明しきれない電子や原子核などの間の微視的現象を説明するために
開発された理論(発展中)である。
- パウリの排他原理 -
同じ電子軌道内に同じ向きのスピンをもった電子は存在しない
- バンドギャップ -
バンドギャップ(Band gap、禁止帯、禁制帯)とは、 広義の意味は、
結晶のバンド構造において電子が存在できない領域全般を指す。
ただし半導体、絶縁体の分野においては、
バンド構造における電子に占有された最も高い
エネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、
最も低い空のバンド(伝導帯)の底までの間の
エネルギー準位(およびそのエネルギーの差)を指す。
例えばシリコンのバンドギャップは約1.2eV、
ヒ化ガリウムでは約1.4eV、
ワイドギャップ半導体の窒化ガリウムでは約3.4eVである。
半導体のバンドギャップエネルギーは温度が上昇することで減少する。
温度が上昇する際、原子振動の振幅が増加し、原子同士の間隔がより大きくなる。
格子のフォノンおよび自由電子、正孔における相互作用もまた、
より小さな範囲でバンドギャップに影響を及ぼす。
- エネルギー準位 -
エネルギー準位(energy level)とは、
束縛された(即ち空間的に閉じ込められた)
量子力学的な系や粒子がとり得る離散的なエネルギーのことである。
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