昨日までの記事で、常温核融合装置のE-Catの機構を推測をしてきました。
今日は、その中で残された疑問、
「どうすれば陽子(水素原子核)と電子を合体させて中性子とするための
高エネルギー
のヒントを最後に書きます。
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まず、常温核融合の私の記事を時系列にて並べてみます。
(1) E-Catはなぜまだ電力入力が必要なのか-推測
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/e-cat.html
常温核融合装置であれば自分で熱を出すのに、
なぜ、加熱のため(?)に動作中にも電力入力が必要なのか、、、
不思議に思い理由を推測した記事
(理由は、水素ガスを電離して
(2) ニッケルと水素の常温核融合の寸法-推測
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/blog-post_730.html
E-Catはニッケル・ナノ・パウダーと水素ガスを(核融合の)燃料とします。
このときの原始レベルの寸法と熱出力の関係から、
どういう密度・頻度の核反応が起きているかを推測した記事です。
常温核融合は、水素ガスの水素原子の100万個に一個が
中性子となり反応する系であることを示唆できました。
[補足]
ニッケルと水素ガスという材料は、日常にありふれているので廉価です。
ニッケル : 100円や50円の硬貨、水素:水を電気分解すればすぐ手に入
これに対して、パラジウムと重水素ガスは、量がずっと少ないため高価です。
常温核融合のパラジウムと重水素の実験の日本語情報が溢れていますが、
今となっては時代遅れです。
ですから、パラジウムと重水素ガスに拘ることは、無駄です。
(3) 常温核融合 ニッケル原子100万個に一個が反応の意味 - 推測
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/100.html
統計学の基本、正規分布で、100万個に一個になるとは、
分散との比率(偏差値みたいなもの)でとの程度のことなのかを
計算で確認しました。
この後、熱力学での粒子の温度と運動速度について、
再確認が必要と述べています。
熱力学での粒子の運動速度の式は、
正規分布の関数とほぼ同様の式であることが
物理学の教科書から判っています。
(4)Defkalion社訪問サマリの訳
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/defkalion.html
浅学俊郎 さんの情報である、Defkalion社訪問サマリを訳しした。
これが、「E-Catはなぜまだ電力入力が必要なのか」を説明できる資料です。
(5)常温核融合の基本は中性子の作成技術?
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/blog-post_25.html
「Defkalion社訪問サマリ」から、理解を深めるために、
物理学の基礎を再確認している記事です。
結局のところ、「陽子と電子を合体させて中性子とする」ことが、
基本であると判ってきました。
でも、それがどのようにすれば可能となるのか、
この段階ではまだはっきりとしていません。
- 不確定性原理によるトンネル効果
(低エネルギーの量子でも、確率的にごく少数が反応しうる)
- 熱エネルギー(粒子の運動エネルギー)の偶然の衝突
(古典的熱力学の統計から一部の粒子は高速に運動している)
- 局在プラズモン共鳴
を持ち出していますが、まだ不足です。
(追記 上記の記事自体を加筆してあります、
陽子と電子から中性子を作る式が見つかったからです)
(6)Widom-Larsen 理論 (概要訳)
http://majin-z-shinsuke.blogspot.jp/2012/10/widom-larsen.html
検索すると「Defkalion社訪問サマリ」に指摘されている
「Widom-Larsen 理論」が簡単に見つかります。
早速、概要を翻訳しました。
やはり、Widom-Larsen 理論では、
「陽子と電子を合体させて中性子とする」ことが基本です。
でも、陽子と電子を合体させて中性子とするには、
ガンマ線レベルのエネルギーを陽子と電子に与える必要があります。
陽子と電子の100万個に一個がそうなればいいのですが、
具体的にそうなるというには、まだ私には理解が不足していました。
この記事の段階では、
- 金属ナノパウダー材料の小さなナノ割れ目
- 金属プラズモン
- 変動する電場(in a fluctuating electric field)
が出てきます。
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改めて物理学の教科書(
(カタカナでは、ファインマンとするようですね)、50年前の本です)を
再点検していると、制動輻射の話が書いてありました。
- シンクロトロンでは、ガンマ線を作ることができる。[結論です] -
私は昨日まで知識がなく、
ガンマ線は、核分裂でしか作れないと思っていましたが、
無知だったわけです。
Feynman物理学には、以下の内容が記されています。
磁場中で荷電粒子(電子や陽子)は円運動をする。
このときの電磁波を放つこれは、シンクロトロン放射という。
その装置はシンクロトロンという。
さらに、この加速した荷電粒子(電子)を
タングステンにぶち当てるとガンマ線が飛び出す
(制動輻射という、粒子の運動エネルギーがガンマ線になって飛び出す)。
つまり、常温核融合装置の内部では、
水素を電離させて陽子と電子に分解して
磁場をかけて加速して、なにかの金属にぶち当てると
ガンマ線(=高エネルギー)が飛び出す、そうすると、
中性子のベータ崩壊の式の
と推測できます。
<<< ここから大きく追加
この推測は、もう少し変形され次になります。
電離した水素原子核の陽子と電子は、
磁界の中で互いに逆回転で円運動する(はず、電荷が+-だから)。
磁界からエネルギーを得て光速近くまで加速する。
(制動放射でベータ崩壊のガンマ線を出せる程度でよい)
(補足追加: 気軽に
実際は正確に計算できるはずです。
もちろん相対論の要請で光速にはなれません)
とくに電子は、陽子の1700分の1の質量なので勢い良く回る。
(補足追加: プラズマ物理入門(宮本健郎さん著)の13ページに
電子と陽子(プロトン)の回転のラーマー半径が記されています、
電子 23.8 マイクロm 陽子 10.2 mm (ただし、 B = 1T, kT = 100 ev)
半径が、1000倍違います。
また、熱速度やサイクロトロン周波数も紹介されています
もちろん回転中心は、様々な位置と推測できます)
そして、百万個に一個の確率で正面衝突すると
運動エネルギーがガンマ線レベルまで高いため
制動放射するまでもなく結合して中性子になる。
(常温核融合装置は持ち運べるくらい小型のため
陽子のラーマー半径を確保できない大きさです、
プラズマ気体として、正面衝突するというより、
ニッケル・パウダーの表面に付着しているなどの陽子に
電子が衝突するというふうに考えるほうがいいでしょう。
そのとき、交流により作られる振動磁場であるほうが
有利かもしれません。)
中性子になると電荷0のため磁界では回転しない。
運動量保存則などにしたがい、
テキトーな速度ただし、ガンマ線を出すほどではない速度で
どこか(周囲のニッケルナノパウダーとか)にいきつく。
正面衝突しないで接近した電子と陽子は、水素原子に戻る
さらには水素分子までも戻るものもあるだろう、、、。
でも、放電や加熱により再度、電子と陽子に電離させられる。
装置内は電離したガス(プラズマ)であり、
磁場の中で回転している、
電子と陽子は光速付近で正面衝突すれば、
中性子になりそうでないと原子になる。
中性子は電荷0のため漂うように流れていく
結局どこかの原子核にぶつかる
そうするとその原子核に吸い込まれる
原子核から、余分なエネルギーが出てきたり
ベータ崩壊したりいろいろな反応がおきる
つまり核種変換が起きる。
この反応は、中性子が少ししか生産されないため
きわめてゆっくりした核反応である。
つまり容易に制御できる。
しかも、核分裂原子炉と違い、すぐ停止できる。
だから爆発(化学爆発も核爆発も)の心配は、ほぼ無い。
(唯一容器に穴があいて水素が漏れる爆発がありうるが、
極めて小規模である)
水素原子は結局少しずつ消費されていく、
そこで、水素貯蔵合金であるニッケルが役に立つ。
ニッケル(金属の多く)はすこしずつ水素ガスを補充してくれる。
水素分子は最小の分子であるため、
どんな材料壁で水素ガスを蓄えても、もれ出てしまうのだ。
だから準化合物の形(水素貯蔵合金など)で蓄えることが最もいいらしい。
さらに、追加します。
Wikipediaのプラズマ項を見ただけでも、プラズマと常温核融合を組み合わせる
とんでもない可能性があるとわかります。
プラズマについていろいろ調査しましたら、上記の方法が可能であると判断でました。
身近なプラズマは蛍光灯の中です。
つまり100円程度の装置でプラズマを作れています。
大量生産すれば安くできるということです。
ガスの炎もプラズマです。
いったい、日本のプラズマ技術者とプラズマ科学者は
今何をしているのでしょうか。
やるべきことは、ここにありそうです。
レーザーを照射する方法(アブレーション)がありますが
ガンマ線レベルのレーザはまだないようです。
ガンマ線レベルのレーザがあれば、
すぐ水素から中性子を作れるはずです。
それでもレーザーを当てると常温核融合反応が高まったという実験報告もあり、
反応を起こす閾値に近づけるよい方法かもしれません。
半導体にイオンを注入するイオン銃もプラズマの応用です
水素イオンつまり、陽子をイオン銃でターゲットにぶち当てるのも
中性子を作るために効果的でしょう。
なにせターゲットの原子は電子の衣を着ているのですから
調度よい高速でぶち当てればすぐ中性子になり、
そのまま原子核に吸い込まれます。
液中プラズマもあるそうです、
重水素水のパラジュウム電解というクラシックな常温核融合モデルで
超音波で気泡を発生させて電磁波を照射するという
実験もどなたかしていたはずです。
レーザープラズマ加速器は非常にコンパクトで高出力(10^9eV)が得られる
常温核融合ではそんなに高出力加速器はいりません、
0.78MeV = 7.8^5eV でいいのです。
(補足:実際の反応では、反応が確実になるよう励起させるため
もっとエネルギーがいるようです。
どの程度が正確には解りませんが、
とりあえず約二倍の 1.293MeVという記述を
Widom-Larsen theory の論文
Ultra low momentum neutron catalyzed nuclear reactions
on metallic hydride surfaces から見つけています。)
つまり、10,000分の一の性能でいいのです。
すぐ可能だと小学生でもわかります。
「プラズマから電力を得るには、猛烈な運動エネルギーを持つ荷電粒子を
減速させるための逆電界を印加するだけでよい。
粒子の運動エネルギーを直接電気エネルギーに変えることが出来るため、
80%を超える極めて高い変換効率が実現可能である。」
という記述も見つかります。
いまの常温核融合は、熱が出たり核変換するだけですが、
出力熱をプラズマを加速する方向に使うようにすれば、
プラズマから直接発電できるので、
今の核分裂原子力発電の効率30%や火力発電の効率40%を
はるかに上回ることができます。
つまり常温核融合装置でプラズマ発電できれば、
超強力で超時間連続稼動、低コスト、超小型の
スーパー発電機になりますから、
そのまま電気自動車や飛行機(プロペラ機)に搭載すれば
それはすごい革命になります。
つまり石油を燃やす必要がなくなるのです。
石油は化学製品の材料として使うだけになれます。
ピンチ効果やプラズマシェル という用語も出てきました。
今回、水素を電離させるために放電を使うといいと書きましたが、
放電で、電子が円柱の中心軸に集中するそうです。
プラズマシェルは、反対の電荷の陽子が円柱側面に集まることだそうです。
中心軸の電子を磁場で回転させ、うまく加速すれば、
回転半径が広がり調度よい速度で円柱側面の陽子に衝突します。
つまり効率よく中性子を作れます。
こうして、できた中性子が付近の原子核に吸い込まれて
熱を出すわけです。
もっとも、一個の中性子を作るエネルギーより
多くのエネルギーが原子核から出てこないと
エネルギー収支がプラスになりません。
E-Catは、入力エネルギーの10倍程度の出力エネルギーであると
報告されているので心配はまったくないのですが、
理論的にそうなのか、この疑問点はこれから調査していきます。
>>> ここまで
---[ 中性子のベータ崩壊の式 ]---
中性子 => 陽子 + 電子 + 反電子ニュートリノ + ガンマ線
陽子: (水素から電離して作られ充満している)
電子: (水素から電離して作られ充満している)
反電子ニュートリノ:(質量 2.5eVと可視光線なみに弱いので回り充満している高熱から作られうる)
ガンマ線:(エネルギー 0.78Mev、装置の制動輻射で作られる)
中性子のベータ崩壊の式も
化学平衡と同様に
可逆性があってしかるべきと推測できます。
<<< 追記
中性子生成の式がわかりました。
陽子 + 電子 + 運動エネルギー 0.78Mev => 中性子 + 電子ニュートリノ
>>> ここまで
したがって、
陽子と電子の100万個に一個が中性子と成りうる可能性が
理論的にもずっと高まりました。
[おまけ]
なぜ、最新のE-Cat, Hot-Catが円筒形なのか、、、
理由 : シンクロトロンのように陽子と電子を磁場で円運動させるためでしょう。
この記事はここまでです。
今後は、Widom-Larsen 理論の詳細を調べていきたいと思います。
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