Dec 16, 2012

日本が石油を自給する未来


日本が石油(天然ガス)を自給する未来が来るといいなと思います。

世界では、古い石油有機起源説に代り、
石油無機起源説が台頭してきていますが、
日本国内では、まだまだ知られていません。

そして、石油無機起源説に立脚しても
なかなか日本で石油(天然ガス)を自給するには時間がかかりそうです。

技術、企業戦略、政治、国際関係で現状をさらっと考えてみました。

=============================================================
技術
=============================================================

日本で石油有機起源説を捨てて石油無機起源説が主流となるには、
古い説を唱える学者先生が自説を変更するか、
引退されるまで待つしかありません。
死ぬまで自説に拘る学者が多いのでとても時間がかかります。

石油無機起源説が主流とならないと、掘ってみようという世論もでてきません。

また日本にはまだ陸上で6kmまで、海では海底下2kmしか掘る技術がないようです。
世界は、陸上で12km、海底下7kmまで掘る技術があります。

深く掘るには、
(1)穴の崩れを防ぐ一定直径の鋼管をどうやって
 同じ穴に通して繋いで埋めるかという方法
(2)地下の高熱 500度以上 に耐える機材の開発
が必要ですが、とても難しく決め手の技術がありません。

10km以上深く掘るとなるとお金がとてもかかります。
今の日本なら一本10億円-100億円ぐらいでしょうか。

たくさん掘るために安く掘削できる開発が必要ですが、
政府に任せるとできた試しがありません。
民間の開発を待つしかありませんが、
いずれにしろとても時間がかかります。

掘っても石油(天然ガス)が出ないと意味がないので
事前に石油がありそうだと予想できる技術が必要です。

それは、人工地震による石油探査という方法なんですが、
この技術もまだ日本はまだまだ未発達です。

人工地震といっても、
自然に起きる地震とは比較にならない程度の
弱い地震を人工的に爆薬などで起こします。

巨大な自然の地震と人工地震を勘違いしている人も、
インターネット上には多数いますね。

地震探査するというとよく考えもせず反対する人も出てきそうです。
(自分で考える科学教育が大切なんですが、、、)

地震探査の技術は日本ではせいぜい1km程度の深さまでしか
わからないという記述を掘削会社のHomePageで見つけました。

世界の地震探査の深度・精度のレベル
(深さ10kmまで判るのかわからないのか)は、
日本語で調べても良くわかりませんでした。

海底油田では、事故による油流出事故
(もちろん原発ほど危なくは、ありません)が心配です。
何重も対策が必要です。
でも、心配というだけで反対する人が出てきそうです。

調査すればするほど、日本はこの石油探査と掘削の分野で
後進国であることがわかりました。

石油無機起源説に従い
日本の陸上(たとえば東京湾沿岸の石油コンビナート)で
石油を掘り当てるなら10km以上掘る必要があるでしょう。

(a)世界(ロシアがNo1、イギリスがNo2)の技術を導入するか
(b)自主開発するか

の方法がありますが、
ロシアの技術を導入することは政治的に困難でしょう。

- ロシアが技術流出を怖れて日本に技術提供したくない
- アメリカなどが日本がロシアに接近することを嫌う

やるなら、イギリスの技術を導入することになりそうです。

[おまけ]

日本には、石油を生産する藻(植物)の発見などがありますが、
石油製品にする経費を考えると、100円の石油を作るのに
1000円かかるような状態ですから、これは話になりません。
この藻より太陽光発電がずっといいです。

=============================================================
企業戦略
=============================================================

私は、企業の自主的な投資で日本で自給できるほど石油(天然ガス)が
取れるようになれば理想的と考えています。

しかし、天然資源・地下資源は、
国土そのものですから、もともと国民のものです、
一企業に資源を独占させるわけにはいきません。

企業には、採掘して販売してもよろしいという
許可を与えることが国の役目です。

企業と政治が癒着する可能性は極めて高い分野です。
癒着すると結局のところ国民は高い石油を買わされます。

今の日本の石油企業の多くは、
石油を自分で掘るというより、輸入をする商社であり、
石油精製し流通させるという業務が中心です。

日本の石油企業は、
国際的な石油企業群の体制に組み込まれているから
どうしても仕方が無いのです。

そして、あと40年分の石油は見つかっているので
石油企業群としては、これを販売すれば、
間違いなく利益を確保できるので安泰です。

世界には日本より簡単に石油が見つかる場所が
まだまだたくさんあります。

一方で、石油無機起源説に従えば、
今ある油田を丁寧に保守すれば、
半永久的に石油を掘り続けることができます。

ですから、石油企業には、新規技術開発というリスクを犯して、
わざわざ日本の陸上や海上で石油を掘る理由がありません。

石油企業にとって、
「石油無機起源説によれば石油はもともと豊富にあるからもっと安くていいはずだ」
と一般の人に考えられてしまうことは、困ります。

つまり石油企業としては、黙っていることが利益につながります。

=============================================================
政治
=============================================================

日本全体としては、石油(天然ガス)を自給自足できれば、
どれほどいいでしょう。

でも世の中、国全体のことだけを考えている人だけではありません。

色々な立場や考えの沢山の人が集まって国ができているので、
政治は、権力で対抗者をどう妨害するか、集めた税金をどう有利に使うか
というゲームとなります。

人の妨害をする人や、税金を自分の事業に使わせる人は、
儲けたお金を政治家や官僚に献金をしたりするので、
私には手に負えません。

大きな資金を持つ団体の力で日本政治は決まりますので、
今の国際状況が変化して石油関係の企業がその気にならない限り、
「国策でもいいから東京で石油を掘ってみようか」とは
今後10年程度では、ならないでしょう。

でも、この先、石油(天然ガス)の値段は上がるといわれています。

理由は、
陸上の浅い井戸から簡単に掘り出せる高品質の石油(天然ガス)が
すべて見つかってしまったこと、
これから掘り出すには、深く掘ったり、海で掘ったり、
質の悪い石油を精製するため経費がたくさんかかること、
世界の石油需要はこれからも増えることの二点からです。

ですから、いずれ日本でも石油を掘る必要が出てきます。

一般の国民としては、そんなこともあると
心積もりをしておくことが必要なだけでしょうね。

日本では今、メタンハイドレートがブームです。
埋蔵量が推定されて、大量にありますが、
安く掘り出す技術がまだありません。
技術開発には、10年ぐらいかかりそうです。

深海の地下で動作するロボットブルドーザーに
収集装置を付ける形になりそうてす。

石油無機起源説によればメタンハイドレートのあるところ
その地下に石油(天然ガス)ありとなります。

メタンハイドレートを先に掘り出し、
その後で石油となりそうです。

メタンハイドレート(本州の南海側)に付け加えますと、
日本海や北海道の南側の太平洋には
油田(資源量はまだ非公表、ただ面積はやたらと広い)や
メタンハイドレートも見つかっています。

私は、海で掘るより、陸で深く掘るほうが安全だし、
生産地と消費地が近いので値段も安くできる、
事故時の対策もしやすいと考えているので
「東京で石油を掘ってみよう」という考えです。

=============================================================
国際関係
=============================================================

現在、日本では石油(天然ガス)がほとんど取れません
(あるはずなのに、技術がなく採算もあわず取っていません)。
日本は、石油(天然ガス)は、輸入しています。
つまり相手の輸出国があります。

日本が完全に自給自足すると、輸出国は立ち行かなくなります。

石油(天然ガス)の輸出国との関係を大切にするなら、
ある程度輸入を続ける必要があります。

しかし、輸出国も国民の生活が豊かになり
石油(天然ガス)を自国に消費するようになると、
日本に輸出する訳には行かなくなります。
ですから、石油の値段がだんだん上がるはずです。

でも高い価格で買わされ続けることは、
石油輸入業者には都合がいいのですが
日本国民にとっては困ります。

実際、今(2012年)電力会社は、国際価格よりとても高い価格で
石油(天然ガス)を購入する長期契約(10年ほど)をしているようです。
電力会社にはコストダウンの必要性がなかったからです。
(これからは、そうはいきませんね)

日本として自国内で取れる豊富な石油は必ず必要なので
「掘ろう」ということになるはずです。

日本の場合、南西諸島、沖縄、尖閣諸島に石油が眠っています。

40年前に石油の埋蔵が判明していますが、
なぜその時掘らなかったのでしょうか、
国策でいの一番に掘り始めるべきだったのですが、
当時そこは、アメリカに占領されており
日本は手出しできなかったと推測できます。

だったら、アメリカに掘ってもらえばよかったのですが
当時の石油は今の10分の1の値段だったので
コスト的には、海上で掘る必要は無かったわけです。
でも国の戦略的には、ポーズでいいから掘り始めるべきだったのです。

当時にポーズで掘っていれば、今、中国に
ガタガタ言われることはなかったと思います。

戦争に負けて沖縄を占領された経緯からすると、
南西諸島、沖縄、尖閣諸島の石油採掘権は
日本側ではなくアメリカ側に多くあるのかもしれません。

中国が、尖閣諸島を狙う理由は、石油の確保と、
太平洋への航路(空・海上・海中)の確保のためですね。

日本は、戦争をしない国になりましたが、
侵略され続ける(北方領土・竹島)か
どうかの瀬戸際にいますね。

=============================================================
一個人として
=============================================================

一個人としては、石油の値段がどんどん上がると生活が不便になり困ります。

対策として自分で石油を掘ることは、費用からありえません。

一個人としてできる対策は
(a)節約
(b)太陽光発電設備の購入
(c)家庭用蓄電池の購入
(d)太陽熱利用システムの購入
(d)プラグインハイプリッド車の購入
でしょうか。

太陽光発電設備の導入は、
個人が自立する上で必要な機材かもしれません。

でも、太陽光発電設備は、まだまだ高いですね。
家庭用蓄電池は、さらに高いですね。
太陽熱利用システムは、科学的にまともな物がまだありません。
プラグインハイプリッド車もまだ高いですね。

やはり、当分は「節約」となりそうです。


=============================================================
資料
=============================================================
世界の石油掘削の情勢を表す新しい、よい資料が見つかりました。

ただし、日本政府系の資料なので石油無機起源説について触れていません。
(触れたくても触れられないのが彼らの立場=いわゆる東大話法です。)



No comments:

Post a Comment