Oct 24, 2013

動かせない原発をどうするか ブレークスルー 火力に改造すればいい

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波による福島第一原子力発電所の爆発・炉心溶融・放射性物質の大量放出という国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)は、その後も後始末ができず、2013年10月現在も収束の見込みなく、依然として放射性物質の放出が続いている。

そのため、日本国内の他の原子力発電所は、安全性に疑問が持たれ、動かせない状況が続いている。

では、仮に安全性を高める対策をすれば、動かしていいのかというと、今度は原子力発電所に採算性があるかどうかという問題に突き当たる。

最近の言論では、「原子力による脱原子力」という不思議さ溢れる記事がある。この記事を書いた人・森本紀行 氏は、原子力の技術も採算構造も特に詳しくないお金の運用の専門家と推察する。彼は自分の記事タイトルを「奇抜な表題」と言っているのである。

森本紀行 氏は、「原子力発電の問題は、科学技術の問題ではなくて、科学技術の利用と電気事業の経済性に関する政治の問題です。」と言っているが、私には、「政治の問題」という前に「お金の問題」であることを表現してもらいたかった。

ここから、私の意見。

(1) 2011年までの原子力発電所に、安全性が無いことは、福島第一の事故が起きたことで明らかである。したがって再稼働には安全対策が必須である。安全対策は追加費用がかかり、採算性を圧迫する。

(2) 原子力発電所には、廃炉の費用と核廃棄物の処理費用がいくら必要か正確な予想がない。

(3) 電力会社は、廃炉の費用と核廃棄物の処理費用に、税金をあてにしているフシがありありである。つまり、廃炉の費用と核廃棄物の処理費用を入れると採算が取れない構造の可能性がある。

(4) 核廃棄物は処理後の保管期間が数千年から10万年と言われ、この期間は人類の文字で書かれた歴史せいぜい三千年をはるかに超える長さであり、トータルの処理費用が未定である。しかし、現物がある以上、廃炉と核廃棄物処理をしなければいけない。単なる現状保管策(せいぜいコンクリート詰め)の費用と解体費用と比べる必要が出て来る。原子力発電所を稼働させてこれ以上の核廃棄物を作ることは、愚か過ぎる。

(5) 核兵器を作れるようにしておきたいという意見があるが、すでに日本が保有する核燃料と使用済み核燃料に含まれるブルトニウム等が核兵器の材料として十分すぎるほどあるので、核兵器製造のためにこれ以上原発を動かす必要はまったくない。

(6)  (2)-(4)から、原子力発電所の採算性は疑問だらけ。(1)の安全対策でさらに金がかかる。極めて厳格にライフサイクルトータルで計算すれば、原子力発電所は日本という国家にとって無駄にしかならないと予想してもよいと思えそう。また、原子力発電所が仮に採算が取れるなら、原子力発電所だけで廃炉まで含めた独立採算会社となれはいいだけのはずだが、原子力推進派の中から一切そういう話は出て来ない。これも原子力発電所がライフサイクルトータルで採算割れしていると疑うに十分な理由となる。

(7) (1)-(6)を考えると、原子力発電所の原子炉は、採算上に動かすわけにはいかない。そうすれば、安全対策もほとんどしなくて済むので(1)の追加費用はさほどかからない。

(8) 民間企業としての電力会社の収益構造から考えると、「使える物は徹底的に最後まで使って利益を出す」が正しい経営である。投資から最終的にとして最大限の利益を出し尽くすことが、経営である。そのため、森本紀行 氏は、「原子力発電所を動かすことが経済原則にそっているはずだから、動かすことが望ましい」としている、だが、前提となる考察が不足していると思えた。つまり、次の二点 (a) 原子力発電所は廃炉まで入れたライフサイクルで本当に経済性があるのか、(b) 経済性を改善するブレークスルーを考えられないのか。

(9)  ここ16年地球はまったく温暖化していないことが判明してきた。たとえばここここここ。化石燃料と言われる石油や天然ガスそして石炭は、これまで通り利用して問題なさそうだ。

(10) アメリカ合衆国とカナダのシェール革命、イランの政情安定化もあり、世界的には石油・天然ガスがだぶつく可能性がアリアリ。ロシアのサハリン産の石油・天然ガスも利用できるので調達自体は困らない。価格はダブツキを考えれば今までが高値であろう。

(11) (b) 経済性を改善するブレークスルーがある、それは、原子力発電所を火力発電所に改造してしまうことである。原子力発電所は、原子炉と発電用蒸気タービンでできている、原子炉は止めてしまうのだ、原子炉の代わりに、天然ガスのボイラーを設置する。ボイラーの蒸気をタービンへ送ればいいのだ。火力発電所が比較的簡単に作れるはずだ。実は新たな用地買収の必要がない。さらに、送電設備も完備している。原子力発電所は港を設置しているので、天然ガスの輸入もスムースでできる。原子力発電所は、もともと地方にあるので、広大な敷地があるし高台ににある、太陽光発電と風力発電にも好適である。太陽光発電と風力発電も併設できる。そうすれば、原子力発電所の地元には、核燃料税はなくなるが、発電所は残る。しかも廃炉の仕事は、森本紀行 氏の指摘があるようにずっと、50年は、残る。つまり、地元振興に、ほとんど問題はない。

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おまけ

(A1) 福島第一の事故は、京都大学工学部原子核工学科を卒業した共産党の吉井英勝議員が国会で2006年3月1日から2010年5月26日にかけて合計6回も指摘した地震・津波の危険性に当時の小泉純一郎総理大臣と安倍晋三総理大臣の自民党内閣、鳩山由紀夫総理大臣の民主党内閣、福島県の佐藤 雄平知事、東京電力(社長会長はすべて経理畑出身と聞く)が、ただ真面目に対策に取り組んでいれば、防げたのではないかと思われる。対策といっても、過酷事故に備え、最後の命綱、トラック積載ディーゼル発電機による冷却ポンプの試運転訓練だけで良かったと思われ、これは高々1億円ぐらいの出費であろう。この僅かな安全への出費をけちったことが、未曾有の大災害を招いた遠因である。メンツを捨てて他人(専門家)の忠告に真摯に耳を傾けることがリーダー(専門家では無い)に求められるのだ。

(A2) 高速増殖炉もんじゅなんて、これまでの経緯から危険で税金を無駄遣いするだけの産物であることは明白、やりたいなら税金でなく自腹で研究しなさい。

(A3) 熱核融合炉なんて研究も、ここ50年まともな成果が一つもない、米国の大学はすでに研究を打ち切っている、実現は不可能と思えるし、原理的に高エネルギー中性子線による核廃棄物の山ができて今の原発と同じ廃棄物処理問題と廃炉問題が残ってしまう、やりたいなら税金でなく自腹で研究しなさい。