Dec 20, 2014

太陽光発電のコストが一番安くなった

Wikipediaの太陽光発電のコスト記事の内容が古いこと、日本の家庭用の太陽光発電の導入価格は高止まりしたままの感じがすること、あるいは、最近の円安で、逆に高くなっていく気配があることから、独自に調査してみた。

まず、グリッドパリティという考え方があり、日本では、三段階ある。


  1. 24円/kwh(家庭用電力価格、2014年12月東京電力の第二段階料金の場合25.91円と少し高い)
  2. 14円/kwh(業務用電力価格)
  3. 7円/kwh(電力会社の原価)
また、「太陽光発電モジュールの価格が容量1Wp(ピークワットという)あたり1ドル (1$/Wp) を目安にグリッドパリティが達成されると言われてきた。」

以下、世界価格で検証してみよう。

太陽光発電モジュールの世界価格のサイトによると、ソーラーパネルの平均価格は、0.538ユーロ($0.66)/Wpであるので、グリッドパリティが達成されているはずである。パネル寿命は20年としている。では、さらに計算を進めてみる。

この太陽光発電モジュールの世界価格のサイトによると、ソーラーインバーター(電気を家庭用100V交流に変換する装置)についても価格が出ている。ソーラーインバーターは、パネルより寿命が短いので寿命保障年(2-25年)も掲載されている。ソーラーパネルは、20年持つと言われているので、ソーラーインバーターのコストは、20年分だけ価格が増えることになる。つまり10年保障のインバーターならば、二倍に換算することになる。それで計算し直した、20年分のソーラーインバーターの平均価格は、0.53ユーロ($0.65)/Wpである。

この太陽光発電モジュールの世界価格のサイトによると、ソーラーマウントシステム(ソーラーパネルを屋根等に取り付ける装置の価格)の価格が出ている。この保障年(10-15年)も出ている。これは素直に二倍にして20年分の費用にすることにして計算しなおしした平均価格は、0.145ユーロ($0.18)/Wpである。

したがって、合計すると、1.213ユーロ($1.48 = 177円)/Wpである。

(このサイトによると、日本のメガソーラーでは、250円/Wp、家庭用(分譲用)ソーラーでは、350円/Wpである。メガソーラーも家庭用ソーラー世界価格にどんどん近づくだろう。)

つまり、1Wの発電をするのに、177円の設備代(ソーラーパネルとインバーターとマウントシステムだけ)がかかるのだ。このソーラーパネル設備は、20年間利用できるはずだ。(税法上は17年間らしい)

20年間で発電できる時間は、
東京都の年間の平均日照時間 1.921時間をかければよい。
20*1921=38420
つまり、20年間で38,420時間発電できるのだ。
この総発電の電力は、34Kwhとなる。

34Kwhを、世界価格のソーラー設備なら、コスト177円で生み出すことになる。

34kWhの電力は、日本の電力価格では、

  1. 34 * 24 = 816 円 (家庭用電力価格) > 177 円 
  2. 34 * 14 = 476 円 (業務用電力価格) > 177 円
  3. 34 * 7 = 238 円 (電力会社の原価) > 177 円
ということになり、設備代(ソーラーパネルとインバーターとマウントシステム)だけなら、電力会社の原価(原発や火力発電所、水力発電所)より安いただしソーラーパネルを設置する土地代は含まれていないことに注意、だから屋根を用いることになるのだ。

つまり、世界価格のソーラー設備だけならすでにグリッド・パリティは完全に達成しているのだ。

太陽光発電の弱点は天気次第であり、出力電力が不安定なことである。したがって、昼間発電した電気を蓄電池に蓄えておき、夜に蓄電池の電力を使うことになる。

安価な鉛蓄電池(いわゆるカーバッテリー 寿命は保障2年、大型車用バッテリーならバラで1kwhの容量で2万円ほどで買える)、これを10個ほど用意しておき(10kwhの容量であり、家庭用には十分)、普通自動車用(パナソニック SBシリーズ 40B19L/SB程度、12V 28Ah で、容量 0.336 kWh 保障2年 価格\2,300-\3,200程度、30個で10Kwh相当、合計価格\69,000-\96,000)これを使うとする。

20年分として、10回交換するので、価格は、2 * 10 * 10 = 200万円69万円から96万円かかる。これは、バラ売り価格なので実際はもっと安くできるし、点検をしっかりすればバッテリー 寿命は3年としてもよさそうだ、そもそも10kwhでなく5hwhで十分かもしれない。

ところで、家庭用の大容量蓄電池としては、プラグインハイブリッドカーが最適である。なぜなら、もし夜間に電力不足になっても、エンジンで発電してくれるからだ。つまり、とても利便性が高いのだ。車の購入価格に電池代が隠れてしまうが、割り出すとせいぜい65万円である(PHVプリウスとノーマル・プリウスの価格差である)。車は5年走るとすれば、電池代は、20年分として 65 * (20/5) = 260万円である。

おそらく、東京電力に、年間20万円以上を支払っている人で、ソーラーパネルを敷き詰めるだけの広い屋根を持っている人(家庭も工場も)は、太陽光発電とプラグインハイブリッドカーあるいは蓄電池システムがあれば、東京電力を解約した方が、トータルコストが安くなる時代に突入しつつあるのだ。

家庭用や工場用のプラグインハイブリッドカーとセットになった完全独立型の太陽光発電システムがそのうちに登場することは、間違いなさそうだ。

追加

太陽光発電に関する限り、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度は、コスト競争力がついたから不要となりつつある。この買い取り制度政策は、薄く広く国民の税負担が増える(=全員が損をして貧乏になる)ことなので、私は反対の立場(制度廃止に賛成の立場)である。

今の政府の政策では、原発への政治的優遇策がある以上、再生可能エネルギーへの優遇策もバランスを取る上で無くせないことになるだろう。官僚にとっては、権限と天下り先が増えてて嬉しいはずだ。「人に優しいリバタリアン」である私には困ったことだ。

日本の政治スタイルは、戦争中の大政翼賛会方式の伝統が続きとても古くさい、利害調整型であり、予算膨張主義であり、これを官僚権威主義と私は呼ぶ。優遇策(=補助金、例外税制など)の原資は、国債のこともあるが、結局のところ庶民が納める税金から支払うことになり、ツケは国民が払うのだ。政府予算としては、増税か借金しか道がない。増税は人気が無いので借金(=国債発行)し続けたわけである。ツケはいつか払うことになるはずだが、ツケを払わなければ信用を失う、それが日銀の国債引受と円安ということですでに現実化しており、世界の歴史を調べるといずれ制御できない円安と国内のみのインフレになる可能性が高い。

しかし、業界からの企業献金、たとえば、自民党へは、原発業界から2009年に7億円、過去37年間で100億円を超す、民主党(特に野田内閣以後)も額は少ないが同様と推定できる、この企業献金がある以上、古い政党が、「一部業界へのエコヒイキである優遇策政策」を変えることは、これまでの日本の歴史から学べは、不可能のままだろう。明治維新とか、米軍による占領といった統治者の完全な入れ替わりがないと本質的な改革をすることが、日本民族には、できたことが無い。

私としては、政治のスタイルがリバタリアンに変わってほしいところだが、あと4年は現政権が続き、無理だなというあきらめの気持ちもある。

わずかだが、別の希望がある。政治による改革を上回る力とは、技術革新とそれによるコストダウンである。自由主義経済に属する国では、「安いから買うという金の力」ほど強い力はない。

太陽光発電がドンドン安くなれば、市場そのものである私たち市民がそれを買うだけである。