* 原発を火力発電所に改造する予算がないのでは
=> 予算は、4.1兆円以上、おそらく 5.46 兆円 確保できます。
根拠は、内閣府原子力委員会の小委員会の2012(平成24)年4月19日発表の「原子力発電所から出る使用済み核燃料の処理にかかる総費用の試算」(日経のニュースはここ)から
(A)「2020年時点で総発電量に占める原発比率をゼロにする場合は、全量直接処分で費用は7.0兆~7.1兆円」
(B)「2030年まで原発比率35%(震災前と同じ)で全量直接処分で11.8兆~11.9兆円」
(C)「2030年まで原発比率35%(震災前と同じ)で一定量を再処理に回す併存処分で9.1兆円」
とあります。
まず、式「(C) - (A)」で求まる 4.1兆円は確実にあります。
さらに、式「(B) - (A)」で求まる 4.8兆円は、10年(2020年から2030年)で増える使用済核燃料の処分費用です。今原発をすべて停止させれば、2020年まで7年あるので、使用済み核燃料は7年分が増えません。これを4.8兆円に振り分けると、式「4.8 * 7 / 10 = 3.36 兆円」となります。この3.36兆円は、2013年から2019年に増える使用済核燃料の処理費用です。これが不要になります。したがって、今原発をとめてしまうと、今ある使用済核燃料の処理費用だけで済むのです。その金額は(A)より安くなり「7.0 - 3.36 = 3.64 兆円」です。つまり、
(D)「2013年時点で総発電量に占める原発比率をゼロにする場合は、全量直接処分で費用は3.64兆~3.74兆円」
です。この(D)の費用と(C)の費用の差額は、原発を今すぐ止めることで浮いてくる使用済核燃料の処分費で「9.1 - 3.64 = 5.46 兆円」です。この費用は税金あるいはこれまでの積立金ですから、国庫にあります。電力会社は早く国を動かして予算を確保するといいでしょう。
また、内閣府原子力委員会の小委員会資料は、処分後の核廃棄物の長期(10万年)保管費用が書かれていません。このコストは、原発のコストに上乗せするべき費用で、国が税金で負担することになります。すでに大量の核廃棄物がありますが、このまま原発を動かすとこの費用が二倍三倍とかかることは誰でも解りますから、早く原発を止めたほうが国家の財政を好転させるきっかとなりそれだけ減税となれば経済も上向きになります。
* 火力発電所の増設は用地確保から検討が必要で何年もかかるので原発を動かしたい
=> 原発を火力に改造すれば、用地確保は不要です。結果として建物が増えて狭くなりますが仕方ありませんね。でも、発電タービンと変電所、送電設備・港もそのまま利用できとても安上がりです。原子炉は停止したままなので地震津波でも安全ですし、使用済核燃料の冷却用の火力発電がすぐ横にあるのでより安全です。ボイラと発電タービンの距離が多少あっても断熱と流体抵抗を減らせばうまくいくはずです。
* 火力に改造するには、タンカーを横付けする港の改造費がかかり高額だ
=> これは事実に反します。比較的浅い東京湾には火力発電所がたくさんあります。タンカーは沖合に停泊して、パイプラインで液体燃料を陸揚げしますので横付けする必要はありません。
* 今、電気が足りないから原発を動かしたい
=> 日本では国民の努力で節電できたので電気は足りています。本当に足りない時の予備として火力に改造待ちの原発を待機しておけばいいです。
* 再生可能エネルギーは不安定だから、安定電源として原発を動かしたい
=> 再生可能エネルギーでなく、火力であれば十分安定電源の役割を果たします。しかも、火力は出力調整が原発より簡単です。原発を火力に改造することで安定電源の確保という意味とでは十分です。水蒸気発生元のハイブリッド化を達成できたら、将来のLENR技術利用による発電所に改造することも視野に入ります。
* 火力は地球温暖化を進めるから原発を動かしたい
=> ここ12年、二酸化炭素排出量が増えているがまったく地球温暖化していない事実から、原発を動かす根拠にはなりません。
* 火力は原発よりコスト高と2010年まで言われていた
=> 原発は、税金で支払う金額(核廃棄物の処理費と保管費と保険費用と事故保障費用)が含めると国全体では火力と同等かコスト高になりそうです。とくに最終処分の保管費がまったく計算されていません、まず計算をして国民の前に公開してください。
これまでの核のゴミ処理のツケを国民の税金で支払い、発電のみ事業で利益を稼ぐ構造はもう許されません。一方で、これまで発電用天然ガスの調達費用が世界的に高い価格で買い取っていた事実も知られてしまいました。電力会社はコスト意識を持って低価格での燃料買い付けをしてください。米国発のシェール革命の恩恵で天然ガスや石油の価格は長期的に現在程度で推移すると予想されています。また埋蔵量も石油天然ガスのほうが、核燃料のウランよりも多い(採掘可能年数が二倍以上長い)ことも判明しています。
電力会社が支払うべき原発事故保険について書きます。原発は爆発したので、危険です。爆発前でも民間の保険会社は事故保険の引き受けをしていませんでした。仕方なく、国家=政府が税金で保険会社の代わりをしていたのです、実際に爆発してしまった以上、これからの原発事故保険金は相当量増額せざるを得ません。少なくとも福島第一の事故費用の回収はこれからの保険金見積もりに原価として組み込まれます。つまり、今回事故の分だけ原発はコスト高となります。保険金は、保険金という名目でなくとも、国から電力会社に請求され、電気料金に上乗せされ最終的に国民が負担します。事故率は、爆発前なら1000年に一度とか、10万年に一度で計算していましたが、日本なら50年に一度は爆発すると見るのが確率として妥当と思います。世界最高のもの作り技術を誇る日本でも、原発施設の管理能力は50年分しかありません。原子力事故の保険の掛け金額は、これまでとは比べ物にならないほと高額となります。これも原発を高コストにする理由です。
* 買ってしまったウラン燃料を燃やして元をとりたい
=> 燃やすことで発生する核廃棄物の処理費用と保管費用の合計を含めて再計算の上判断したいと思いますが、今までの経験から、買ったウラン燃料を買値より安値でも他の国へ売りさばいたほうがトータルでコストダウンできると思います。
* 今は古い火力発電所を再稼働している、もし故障すると電力不足になるから原発を動かしたい
=> 故障しないように国民が一層節電するから、電力需要が少ない夜間や春・秋に火力を一次停止してメンテナンスすればいいと思われます。また原発を火力に改造することで原発を動かす必要はどんどん無くなります。万一、古い火力発電所が故障したときの修理の間だけ、修理完了までの間だけ、臨時に待機の原発を動かすという控えの位置でいいです。
* 原子力技術の継承のため原発を動かしたい
=> 原発を火力に改造しても、100年以上の長期間、原子炉は動かさないで残ります、廃炉の費用を節約するためです、そのまま保管が一番安くなりそうだからです。実際原子炉を解体してもどこにも移動する場所がないという現実がありますから、少なくとも1000年は、そのままそこに置いておくだけとなります。だから保管の技術は残ります、技術遺産として動かせる状態での保管は、沸騰水型で一基、加圧水型で一基の合計二基だけでいいはずです。
* 核兵器を作るために原発を動かしたい
=> 今の日本には一万トン以上の使用済核燃料がありますから、これを材料に核兵器はいくらでも作れるという現実があります。核兵器のために原発をあらためて動かす必要はありません。でも、日本が核武装する必要はないと思いますし、そんなことをしたら、世界で孤立してしまい、経済制裁として少なくとも石油や天然ガスの輸入はできなくなりそうです。
* 原発の安全を強化するので動かしたい
=> 最もよい安全とは動かさないことです。それでも動かしたいというなら、安全強化の費用だけでなく、核のゴミの処分と超長期保管の費用、値上がりする保険料の全部を計算に入れてください。今わかる限りの正しい計算で原発の採算が火力より勝るなら、原発単独の会社として動かしてくださって結構です。
* 癌などの放射線治療のために原発を動かしたい
=> 原子炉や核廃棄物から出て来る放射線を癌に当てることで治療する方法であれば、今の日本には一万トン以上の使用済核燃料がありますから、これを使えば治療用には十分な量があります。また技術革新で核廃棄物を使わなくとも放射線治療ができるようになっていきます。
* エネルギーを多様化してリスク分散する必要があるので原発を動かしたい
=> まず、リスクが発生しないよう国民と政府が世界平和に貢献することが一番です。石油、石炭、天然ガスの輸入先を分散させることが原発よりずっと大切です。なにせ原発では自動車も船も飛行機も動きません。また国産燃料確保に、メタンハイドレードの採算がとれる研究や、電力としての海面での風力発電や太陽光発電と電池のコストダウンと効率向上研究に力を入れるべきです。リスク分散に原発は不要と思われますが、動かさない原子炉がずっと100年以上残ることでリスク分散はできています。
* 火力発電所のタービンと原子力発電所のタービンは違うので改造できない
=> その違いは、原子力発電所のタービンは、熱効率30%、旧式火力発電所レベルのもの、一方最新火力のタービンは複合サイクルで効率45%の超高圧超高温蒸気対応のものと思います、当面、熱効率30%のものに合わせてボイラーから出る蒸気の圧力と温度を下げればいいだけです、タービンの寿命が来たら、複合サイクルで効率45%の超高圧超高温用のタービンに置き換えればいいのです。
* 地元の産業がなくなるので原発を動かしたい
=> 火力に改造して発電所が残るので、地元振興でできます。ただし、核燃料税とかの収入は無くなりますから、核の最終処分場に早く名乗りを揚げて地元振興をするのもいいかも知れません、あとに書く自家発電設備の工場の誘致も早い者勝ちですよ。
* 原発を作った設備の元をとりたいので原発を動かしたい
=> 電力会社の原発部門には、国から新しい保険費用の請求と見積もり直して値上げされた核のゴミ処分費用の請求書が届きます、それでも採算が取れるなら動かすのは安全対策をした上ですが自由です。はやくソロバンを弾いてください。火力に改造するほうが儲かりそうです。
* 電力会社の原発部門をどうリストラしたらいいのか判らない
=> まずは火力に改造することで、そのまま人員を横スライドできます。当面はこれでしのげますが、本命は自家発電です。電力会社は、将来は家庭や事務所の自家発電設備の製造販売に進むことです。天然ガス燃料電池はガス会社の取り分なので、電力会社には、太陽光発電が有望です。まだ正体が判然としませんがやLENRもあります。似たような技術の変化は、共用の有線電話が、個人用の携帯電話に変わった時にNTTが分社してドコモを作ったような変化があります。このときソフトバンクのようなチャレンジャーとの競争が始まりました。その歴史と同様なことが電力の世界でも起きます。これこそが、全国に支店網をもつ設備産業である電力会社の新しい仕事です。自家発電装置はガラパゴス仕様でなく世界標準になるものを、メーカーに作らせて販売すればいいのです。電灯線での自家発電同士での電力融通で儲ける体質をつくりましょう。変化についていくだけでなく変化をリードできる体質になるには、分社化はもちろん思い切って外部の血を導入することです。
* 原発設備産業だけどこの先どうすればいいのか判らない
=> 世界で原発を求める国に輸出して生き残る手は、あまり長く持ちそうにありません。かれらの国は、
原発に電源を依存したいのではなく、原発も持つ事で国家としての地位を保ちたいだけですから、大量導入はしないはずです。でも、原発を火力にするということで、新規開発の仕事が舞い込みますよ。
長期では、原発の新規研究(高速増殖炉も熱核融合も核兵器も)を下火にするとか中止にして、別の新規技術、たとえば、自家発電や電池の技術、再生可能エネルギー、メタンハイドレードの採掘や超大深度(30km以上)石油掘削とか、あるいは、夢を追ってLENR(低エネルギー核反応)とかを研究するといいことがありそうです。
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