Feb 12, 2015

自由と平等から、相続税は格差是正と言えるか

お金持ちの子息が相続によって、生活基盤と事業基盤を円滑に継続することは、「生まれながらに階級が固定する問題ある格差」ではいかという疑問について、以下に検討しました。

これは、真の自由主義者、リバタリアンの立場として、また平等主義の立場から、相続税はどうあるべきかを考えたのです。

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税率

現行の日本の相続税は、6億円超の相続をするときは、
(6億円-7200万円)*55%の税率
となります。

相続財産が、1000万円以下のときは、税率10%です。
累進課税の倍率は、5.5倍ということになります。

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リバタリアンの流儀である、小さな政府の鉄則では、
(1)税目を減らす
(2)税率を軽くする
(3)免税例外や累進課税をなくし税体系を簡素化する
ことになります。

また、平等主義の立場は、
(1)人権の平等
(2)機会の平等
です。

憲法に規定される国民であれば、法律上の人格の扱いが平等であること、法的権利の平等です。

機会の平等とは、機会均等を他人の自由や財産、公共の福祉を侵害しない限り保証すること、これは、チャレンジする機会を可能な限り平等に与えるということであり、チャレンジした結果、競争の結果である報酬の差の平等を意味しません。

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今は、子供が一人か二人の時代ですから、妻を入れて相続人は、三人程度です。非上場の優良中小企業であれば、相続財産は、20億を超えることは当然ありうることです。

相続税に、55%もの税をかけるということは、努力して成功した優良中小企業の財産の55%を売却することになります。つまり、企業の支配権を、この人ならという相続人に譲ることができなくなります。仕方ないので、銀行から納税額を借金して、あるいは銀行に株式を55%も売却することで現金を作り納税することになります。銀行は労せずして、優良中小企業の支配権を手に入れる(55%を支配するので経営権を奪取)ことになります。これは、政府と銀行に会社事業が乗っ取られることになります。経営権を持つ銀行は部外者ですから、事業方針が変わります。死亡した創業者の意図とは別の方向に事業が進み、将来はどうなるか解りません。

このように、相続税に、55%もの税をかけるということは、個人財産権への著しい侵害と感じます。

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憲法との比較

あの悪名高い選挙の一票の格差も、最高裁の判例で認められるのは二倍までです。

5.5倍もの累進課税は、日本国憲法に謳う平等「第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」に違反すると思いますが、線引の数字かはっきりしないので共産主義者や社会主義者が多いと言われる裁判所はどう判断するのでしょうか、とても恐ろしい気分です。

日本国憲法に謳う財産権「第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」とあります。

財産が無税で相続されても、公共の福祉に害をなすことはありません。つまり、無税で相続は公共の福祉に適合しています。所得税は、役人の給与にする、不動産税は国土の利用料金であり国防費、道路税は道路建設維持と、正当な補償名目がありますが、相続税について、正当な補償は、されるのでしょうか。

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格差の検討

高額な相続が「生まれながらに階級が固定する問題ある格差」かどうかということですが、妻(あるいは夫)、子、あるいは遺言に指名された相続人に分けて検討します。

相続時点で妻(あるいは夫)は、一緒に長年夫婦で努力してきたからこそ、この財産があるのだから、生まれながらではありません。だから、妻(あるいは夫)が相続する場合は、格差ではありません。

子の場合ですが、子も相続時は、しっかりとした一人前の大人の年齢になっていることが予想されです。子は、しっかりとした一人前になるために、生まれながらだでけでなく、教育を受け、社会に出て働き努力を積み重ねています。死亡した親も、財産(会社やその他)を相続してもこの子やっていけると信じているから、相続させている訳です。だから、単なる生まれながらに階級が固定する問題ある格差ではないことになります。

遺言に指名された相続人の場合は、死亡した人がこの人ならということで相続を指名しているわけですから、事業継続の才能を見込まれているわけです。だからもこれも、単なる生まれながらに階級が固定する問題ある格差ではないことになります。

ということで、相続そのものは、「生まれながらに階級が固定する問題ある格差」ではないということです。

「生まれながらに階級が固定する問題ある格差」とは、有り体に言えば、学校でお金持ちの子供の成績をエコヒイキして良くするというズルすることでしょう。

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結論

自由主義と平等主義から、相続税は、廃止することが最も相応しい。
また現在の日本国憲法の精神からも、相続税は、廃止することが最も相応しい。

しかしながら、昨今の国家財政窮乏の折から、リバタリアンとしては妥協を行い、
相続税を当面の間残す、税率は、10%固定とする。また、控除額は0とする。

国家財政破綻の危機のときは、累進課税を認めるが、累進税率は二倍以内としなければならず、20%を越えてはならない。


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