Aug 18, 2014

資本主義の未来

古い本であるが、「資本主義の未来」(レスター・C・・サロー 山岡 洋一/仁平和夫 訳)
"The future of capitalism (Lester C. Thurow, 1996)"
を読んで、内容をまとめ、現在の日本を考えてみた。



これは、幅広い論点の提示と分析が充実した本(約500ページ)である。
20年近くたった今でも色褪せることが無い内容。


以下は、自分なりの本書の要約

世界の荒っぽい区分

 第一世界:先進国、北米、西ヨーロッパ、日本
 第二世界:元共産主義国
 第三世界:発展途上国、低開発国
 (格差拡大で第一世界は第三世界を取り込み出している)
 (米国の底辺労働者の熟練度は低く、国内に第三世界を持つといえる)

世界国家間格差の概観

 第二世界の変質:冷戦終了
 第一世界と第二世界、第三世界の所得格差の広がり
 第三世界の国の格差拡大(人口抑制国の富裕化、人口爆発国の貧困化)
 第一世界への移民の増大と移民への敵意

資本主義のインセンティブ

 貪欲が徳
 商人が神から最も祝福される
 稼ぐことは徳
 勤労は、義務
 消費するほど幸せになるという価値観

資本主義の現実

 資本主義は、個人が自分で自由に選択できるようにする
 資本主義は、自由主義を基礎においている
 資本主義は、個人の効用(消費、余暇と満足感)の増加を目的としている
 資本主義では、生産(投資や労働)とは消費ではない、それは将来の大きな効用を得るために行われる。
 資本主義は、消費を減らして投資を増やすべきという根拠は持たない(個人の選好である)。
 資本主義は、社会制度の存在そのものを認めていない。
 資本主義は、個人に社会規範を守ることを強制しない。
 資本主義は、個人の権利を認め、個人の社会に対する責任を認めない。
 資本主義は、個人を支える社会の必要性をむしろ否定している。
 資本主義は、個人主義の勝利をイデオロギーとしている。
 資本主義は、全員が協力して取り組めば全員が得をすることの存在を認めないから協力も発想しない。
 資本主義は、チームワークの必要性を公式には認めない。
 資本主義体制は完璧で社会の支援を必要としない、という考えは事実ではない。
 資本主義には、近視眼、不安定な景気変動、生活困窮者の大量出現という三大弱点がある。
 資本主義の最大の弱点は、投資に対して近視眼(3年-5年)であること。
 民間企業の研究開発は長くて6年-7年。
 資本家は、大衆に消費を勧めても投資(努力)を薦めず、資本家の利益の最大化を計る。
 資本主義だけでは、大衆の技能水準が低下し、国家の技能平均も低下していく実態がある。
 資本主義は、長期的に勝者だけが生き残り、社会は経済成長するだろうと楽観する。
 市場の力だけで経済が安定し成長していくという理論は、神話にすぎない。
 資本主義では、短期的景気変動は避けられない(タイムラグと情報格差が原因)
 資本主義では、短期的景気変動は加速(良くなるときは増々良くなる、悪くなるときも同様)する。
 資本主義は、創造的破壊(活力ある新興小企業が新環境に不適な企業を駆逐していくプロセス)。
 資本主義とは、自由競争市場であり、競争相手を市場から追い出すゲーム。
 資本主義とは、利益のために効率追求するゲーム。
 資本主義のゲームを開始するには、現金を参加者に配らなければならない。
 資本主義のゲームで、同じ順位を維持するには、競争し続けなければならない。
 資本主義のゲームが進めば、参加者の財産の不平等に到達し、やがて適者だけが生き残る。
 資本主義は、適者生存の立場から政府に自由市場への介入を求めない。
 資本主義は、自由市場が正しく機能すれば公正な政府という概念の出番は無いとするが、現実は異なる。
 資本主義の市場万能主義は、独善的で、道徳、法律、制度、治安、教育、インフラをわざと無視している。
 アダム・スミスですら私的な利益追求から来る社会への不当な害の抑制を、法律・道徳・宗教・習慣・教育による自制にまかせた。
 資本主義は、奴隷制度や人種差別とも共存できるし、そういう過去もあった。
 資本主義が、技術を使わないと奴隷制度を廃止できなかったに違いない。
 技術を使った者が、資本主義の勝者となったため、誰もが技術に興味を持った。
 資本主義は、全員が平等の分配も理論的に可能というが、現実は違う。
 資本主義は、一人が総取りし、他は所得無しも理論的に可能であり、現実は総取りの方向に向かっている。
 所得と富の不平等があらゆるところで拡大している事実ははっきりしている。
 資本主義で、不平等がどこまでも拡大するといつ民主主義は破綻するのだろうかだれも知らない。
 資本主義が、共産主義や社会主義より効率的に財とサービスを生産し分配できることは歴史が証明した。
 資本主義は、個人の選好を最大限に達成する上で、他の制度より優れていると主張できるだけである。
 資本主義が、共産主義や社会主義より効率的な理由は、個人の欲望という非情な力を利用して利益を最大化するから。 
 資本主義は、社会にとって良い選好(大多数の利得)と悪い選好(大多数の損失)を区別できない。
 資本主義は、自由市場以外に効率性をもたらす理念・方法論を持たない。
 資本主義は、個人の選好の価値観がどのように形成されたかを知らない。
 資本主義は、個人の選好の価値観がどのように形成されるべきかを知らないから強制できない。
 資本主義は、そもそも価値観など教える必要はないという立場である。
 全員が消費しないことも、全員が消費することも数字上ではあり得るが、現実には起きない。
 資本主義の立場からは、消費をするかしないかという個人的選好(自由意志)を非難することはない。
 資本主義の立場からは、環境保全、資源管理については関心を払わず何もしないが正解。
 資本主義は、環境、資源、技術がそこにあれば、個人の自由選好で利用するだけという立場。
 資本主義の市場の力だけを過信すると累進課税に反対せざるを得ない。
 累進課税は、確かに資本主義のインセンティブを歪めるが、どこまでなら許容されるのか資本主義は決められない。
 資本主義だけでは、社会の改革(公正さの実現)は困難である。
 共産主義と社会主義がなくなり資本主義は、困窮者を救済する必要がないはずだが、現実は異なる。
 一人が総取りし他が無一文になれば、資本主義もゲームオーバーである。
 資本主義のゲームを続けるためには、再び現金を配らなければならない。
 (資本主義というゲームで勝者が勝ち続けるには、敗者も生き続ける必要があるから救済が必要)

シュンペーター(1883-1950)の予言と現状

 予言:資本主義は死に絶える、現状:重病である
 理由:発明(インベンション)と普及(イノベーション)が政府官僚と企業官僚により妨害されるから
 現状:日本では、政府官僚と企業官僚の妨害が目立つ
 理由:物書きが社会主義などを礼賛するから
 現状:社会主義は衰退し行き詰まった、メディアの発達で、共産主義は滅び、宗教原理主義と民族分離主義が台頭した
 予言:家族が解体する
 現状:家族は解体された

民主主義の現実

 ひとり一票の平等制と多数決という政府の形
 現在の民主主義は、奴隷制・人種差別とは共存できない。
 よいビジョンを示せないときも、多数決の民主主義は機能できる。

 多数決の合意に基づくが、意見の合意を形成するわけではない。
 多数派の中に共通点があると想定するが、共通点を作り出すわけではない。

 民主主義と資本主義は衝突しかねないが、これまでうまくやってこれた。

 民主主義が、内輪の揉め事無くいくときは、資源が増加しているプラスサムのときだけ。
 ゼロサムやマイナスサムのとき、民主主義では紛糾し物事を決め難くなる。

 民主主義では、危機になると国民の関心が高まり行動を要求するから危機に対応できる。
 民主主義では、危機が起きなければ、国民が行動を起こすことはまずない。
 民主主義で変化を起こすには過半数の国民の賛成が必要。
 過半数の国民は、もともと変化を嫌っており、その意味で現状維持派である。
 変化とは、過半数の国民がこれまでのやり方を変えることを意味する。
 危機にならない限り、利権を持つ小数派が常に改革を阻止(献金で政治家を誘導)できる。
 少数派の利権を打破する改革を成功できる確率が高い時期は、危機のときだけ。

 アメリカでは、一般勤労者の実質所得が過去25年間で劇的に低下した。
 だが、一年当たりの低下率し1%未満わずかであるため一般労働者も政治家も危機と認識できていない。

 資本主義と自由貿易の性質から一般勤労者の実質所得低下の傾向を変えることは不可能だろう。
 だが、資本主義と自由貿易の性質から生活必需品の物価低下の傾向もあるはずである。
 つまり、生活必需品の物価の低下がある限り生活はできる。
 一般勤労者の実質所得の低下は、生活ができる限りは、甘んじて受け入れることも合理的。

 1995年まで米国政府は、中産階級(中層から下層の管理職、ホワイトカラー、熟練ブルーカラー)を育ててきた。
  資本主義は、ダウンサイジングで中産階級を没落させた。
 現在の科学技術と政策では、中産階級の現状維持が限界だろう。
 民主主義の平等のイデオロギーと大多数の所得が減る不平等拡大はどこかで行き詰まるがいつかは判らない。

 政党が違ってもイデオロギーに差が無くなりつつある、だから民主主義(投票と議会)は単なる確認・儀式の場になる。
 それでも行う投票の目的は、自分のグループに利益を誘導するため。
 政党は、違いのわかる選択肢(イデオロギー、ユートピアビジョン)を用意することが望ましい。

 利益誘導と献金政治がはびこると少数派が金権を振りかざし、多数派の利益が無視されてきた
 (日本なら利権政治、例は原発村)。
 利益誘導政治では、少数派が拒否権(既得権の維持)をふりかざす。
 少数派の地域エゴに社会は迷惑料の補償(利権の付与)してきた。

 これからは、少数派は多数派に反対するならば、多数派が失う利益を補償する(原発の保険は発電所が負担)必要がある。

 日本の具体例では、原発が自ら保険料と廃棄処分費を積み立てることでのリスクが電気料金に反映され、
 火力発電と競争できない高い電気で誰も買わないので原発は市場から駆逐される。

 政治家同士が対話する時代は終わり、利益団体を組織し動員できるものが力を持つ時代である。
 過去、多数派は、一人当たりの利益の損失額が少なく、献金する気になれなかった。
 情報と金融の技術革新で多数派の力を、素早くとりまとめることができる可能性がある。

 日本の政治家は嘘をついてきた(公約は多数派、当選すると公約無視して、少数派の利権政治に走る)

自由主義

 個人の選択の自由を認める
 個人の財産を認める

個人主義

 (感想:個人主義とは行き過ぎた自由主義ではないか)

 人には負けないという欲望
 短期的な自己利益をラジカルに求める
 結束の絆がない
 政治のリーダーシップがない
 (他人の権利、他人の自由を認めないと利己主義となる)
米国の保守主義・右派

 過去の栄光(大半が事実でない幻想だ)を取り戻すとい主張

 昔の社会は今の社会よりもっと効率的で人間的だったという幻想
 1955年までがよかったという幻想(10代の出産率最高、30%の離婚率、人種差別、暴力社会だった)
 古い価値観の維持(黒人奴隷制や中世の暗黒時代、身分差別と不自由の時代だった)

 古くからのやり方の維持(技術革新は不要となり、進歩も無くなる)
 「アメリカとの契約」を実現すると州政府が強くなり過ぎ、中央政府は外国より弱い軍だけを持つことに。

 乱暴者の個人が安全と安定を見返りに権力に服従して政府が生まれたという保守的な見方は幻想だ。
 集団が登場したのは個人の権利(個人主義)が意識されるよりずっと歴史的に古い。
 歴史の順序は、社会の秩序ができてから個人主義が生まれた。

 どうやらサローは保守派、右派の論客ではない。

米国の左派

 ユートピアのビジョンを提供する必要性がある
 左派は、達成不可能な非現実的ユートピアを提示するばかばかしさもある

 ユートピアの要素(年金、健康保険、失業保険)は、右派に採用され実現された

 高齢者、病人、失業者など誰もが持つリスクをどこまで社会が保証するか
 生産手段の国有化は、自由主義に反するので、いまだ実現できない
 左派は、ダウンサイジングが苦手である

 どうやらサローは左派でもないらしい。

米国人に共通する思想

 最後は悪(共産主義)が滅び善(アメリカ)が栄える
 ベトナム戦争の敗戦は、アメリカの自己矛盾の大衝撃

 自由と平等はどちらも手に入れられる
 正しい規則(制度、建国理念と憲法)は解放をもたらし、変える必要はない
 普通の庶民が一番よく知っているから、社会計画もエリートもいらない

純粋公共財とは

 国防くらいしかない。
 教育と医療は純粋公共財ではない。

 純粋公共財の性格1:ある人が消費しても他の人の分け前が減らない。
 純粋公共財の性格2:他人が利用することを禁止できない。
 純粋公共財の性格3:全員が消費するものなので、コストを公正に負担したくないので、自分の需要を隠そうとする。

経済学の外部性

 経済に有効な影響を与えるものは外部性があるという

 教育は生産性を高めるので外部性がある
 空港は騒音迷惑を考えると外部性がないともいえるが、交通の利便性から外部性もある

 外部性から政府の必要性を訴えることはできる
 外部性の無いものに税を課す、外部性のあるものに補助金を出すという手法もあるが、、、
 資本主義の立場からは、税も補助金も好ましくない。

 民主主義で運営される政府は、資本主義の企業より生産性効率が劣る
 だから、政府は小さいほど無駄が少なくなる。

 政府の生産性を向上させる仕組みと政府規模を小さく押さえることが資本主義では必要となる。


 所得税の累進課税と困窮者への生活手当の支給が行き過ぎると、勤労の意義が失われ社会が堕落し没落する。
 どこまでが累進課税と生活手当の許容範囲かは、誰にもわからないから、多数決で決めるしかない。

 消費税は所得格差によらない税負担だが、当人の消費の幸福感を減退させる。
 困窮者への手当の一部を当人の職業訓練券に当てる方法は困窮者を勤労に導く可能性がある。
 個人の総合的消費量について累進課税をすることは、技術的に困難。

 貯蓄と投資を優遇するべきか(貯蓄と投資もお金持ちの自由選好であるから、その必要は無い)。

 税率を引き下げるとその分だけ消費が増えるが貯蓄は増えないことは、レーガン政権で実証済み。

政府のこれまでの役割

 正しい価値観を子供に教えれば効率的で人間的な社会になると言われるが、正しい価値観を合意できなかった。
 社会規範を守ることが自分も社会も得をすることを教育をしてきた。

 政府は、資本主義のゲームを続けられるよう、所得分配を調整してきた。
 個別グループの利権確保に、献金額に応じてその都度応えて部分最適をしてきた。

 アメリカ政府は、社会への長期的投資を実施するも、その予算を削減してきた。

 政府の主な役割
 平和、国防と治安、警察、司法
 社会インフラ(災害対策、輸送交通網、通信、エネルギー、水道)の整備と維持
 義務教育と科学の基礎研究

 私的な貯蓄と投資を、税制や補助金で優遇する政策は可決されたことがない
 
現代とは

 民主主義と資本主義が両立する社会

メディア

 メディアは売れる(大衆が好む)情報を売っているだけ:金儲けに過ぎない
 メディアは興奮を売っている

 結果的にメディアが大衆に現実認識を提供している(テレビが現実)
 現実認識:消費(個人的充足)が人生の唯一の目的(=販売拡大=スポンサーの要求)

 興奮という価値観を大衆に教えているのはメディア
 投資(我慢すること、働くこと、生産すること)に価値があるとはメディアでは語られない
 むしろ生産を嫌う価値観を大衆に教えている

 社会規範とは興奮することではないので、メディアでは社会規範を売れない。

 メディアは大衆の視野を短期的にするよう刺激している

宗教とは

 現実を認識するための方法論の一つと考える(宗教の教義の優劣はここでは取り扱わない)

伝統的宗教の性質

 個人主義の抑圧、共同体への帰属意識の向上

宗教原理主義

 宗教原理主義は、テロを正当化する
 宗教原理主義は、自由放任を敵視する
 宗教原理主義は、自由市場の考えを信じていないし、認めない
 宗教原理主義は、試行錯誤や社会実験を認めない
 宗教原理主義は、民主主義をも敵視する

民族分離主義

 多民族国家が分裂する理由(外国からの脅威がない、イデオロギーがない、内部不和が目立つ)
 不和のある多民族国家は、分裂し国境の引き直しに至る

人類の本能 by エドワード・O・ウィルソン

 声が届き歩行の範囲である、家族の範囲、部族の範囲で協力し合う。
 (通信技術と移動技術の革新で範囲は広がった)
 
 実際の年齢構成から、自分と子の世代まで(30年ぐらい)しか計画できない。
 (寿命が伸びて、却って老後不安が高まり、子孫のことを考えなくなった)

 人生が短く予測が当たらないので、数年先と生殖にしか関心が向かない。

政治の現実

 アメリカの政治家は弁護士が多い、ヨーロッパは教師出身が多い(日本は世襲が多い)
 老人ほど投票率が高いので老人の意見が通る
 財政赤字に誰も責任を取らない

 政府が民間企業を規制する時代は終わった(規制の無い国に企業が逃げるため)
 公共の独占だった部門で民間部門がふくらみ公共部門が縮小(裕福ならより良いものを買える)
 (最小限の公共サービスは全員が公平に税負担しないと維持できない)

 経済力があれば献金や賄賂で政治力を買える
 政治力があれば、豊かになれるよう経済力のある者に献金と賄賂を強要できる

 貧乏人を選挙で組織化できないなら、金持ちの富を収奪できるはずもない

 よりよい未来を示すビジョンが無い時代は、社会と経済は停滞するだろう
 (中世暗黒時代、中国王朝時代がそうだった)

 よいビジョンがないと誰もが社会に関心を払わず個人的目標だけを追求する

 国民国家は、イデオロギーがなくなると隣国との対立へ向かう
 (2014年現在の中韓の日本非難と領土侵略)

勝ち組企業の条件

 注目を浴びる新技術を発明できること
 安く買い、安く作り、安く売る技術を持つこと
 売れる分だけを素早く作り素早く販売する技術を持つこと

雑多な真理

 既得権益者の説得方法:敵を作る(外国の軍事脅威, 国内社会不安、敵対イデオロギー)
 変化のサイクル(信念 -> 判断 -> 行動 -> 技術 -> 信念) 
 新しい技術の影響範囲は広い(業績、地位、自己評価、影響力、権限、権威)

 ダウンサイジングとは(人員削減、費用削減、設備削減)

 ピラミッド型組織の害(上への情報遮断)
 組織効率化(決定権を下位へ委譲、中間管理職の削減、フラットなチーム制)は昔から判っていたこと

 古典的な比較優位説は、技術が発展した現代の現実に合わない(知識優位となってきた)
 要素価格均等化の原理(各国の賃金と物価は世界平均へ近づいていく)は現実に起きている
 技術は世界中に広まる

 「変化は好きだ」というアメリカ人も本音は変化を嫌っている

 物質的に豊になった人間の大半は、経済的あるいは政治的権力を求める
 豊かな者の貧しい者への気持ちは、同情から、無関心へ、さらに反感へと変わる。

 最高の考え方最高の体制が、短期間で実現することはない。

 貧しく政府の保護を受けられない人々は、怒りのぶつけ先を探している
 (怒っても解決にはならないし、自助努力をすることと投票で政策選択をすることが解決だが)

 安易な政治家は、少数グループ、弱者グループを攻撃対象として多数の支援者を獲得する

平衡断絶説とは
 グールドらにより提唱された生物学の進化論の一説。
 化石記録のミッシングリンク(太古の生物と進化した生物の中間の生物の化石が見つからないこと)を説明する説。
 生物の種は進化が起きる期間(数万年間)に急激に変化し、その前後ではゆっくりしか変化しない平衡状態が続く。
 進化が起きる期間が地質時代よりはるかに短いので、進化の中間段階の種の化石は残りにくい。
 レスター・C・サローは、経済学に生物学の用語、平衡断絶期を取り入れた。
 しかしながら、定義によれば断絶期は平衡期よりはるかに短いはずだが、経済の断絶期はいつ終わるのだろうか。
 
経済の歴史の概観

 ローマ帝国

  皇帝と市民と奴隷で構成される
  長期間栄え、封建制度よりはうまくいっていたが、やがて崩壊した。

 古代から近代の中国王朝

  技術はあったけれども世界征服のイデオロギーが無かったので世界征服せず
  資本主義の帝国主義で滅亡後、共産主義へ

  ヨーロッパ封建制度(1000年以上続いた)

  ローマの技術を使わなくなる(生産力の喪失と生活水準の低下)
  市民の衰退、封建領主への従属
  イデオロギーが停滞(ローマ帝国の価値観を失う)
  生活水準を向上させるビジョンがない
  文盲がローマ時代より増えた
  権威である教会を支配していた者が最も信仰薄く良心が欠け同情もなく貞節なく好色だった。
  絶えざる戦争、腐敗、不法、不合理な伝説への固執の時代
  将来のために投資するという考えがない時代

  大学(新技術の組織的開発への興味)が芽生えた
  個人の権利を大切にする見方が芽生えた
  やがて、資本主義と自由主義と民主主義に取って代わられた

  初期資本主義(大戦終了まで)

  合理主義、ロマン主義、解放、功利主義、実証主義、集団的実利主義の勃興

  資本主義の弊害が明らかにされ、最後の封建帝国(ロシアと中国)が共産主義になった

  第二次世界大戦では、徹底的に敵(枢軸国:ドイツ、イタリア、日本)を叩きのめす

  冷戦時の資本主義

  米国の博愛主義と共産主義への恐怖という動機から国際主義が生まれる
  労働組合が強い:効率賃金(多めの賃金で勤労意欲を拡大)
 
  ルール主義(米国、英国)と行政指導主義(日本、フランス)

 共産主義の崩壊(冷戦終了)

  崩壊理由:生きている人間の本能を無視したことによる
  崩壊理由:人間のサボリ体質を無視したため、生産性で資本主義に敗北した
  崩壊理由:自由と所有を認められなかったことへの大衆の反感
  (現実として、共産主義と民主主義は共存できなかった)

  ナショナリズムは共産主義の敵である
  共産主義は、統一されたひとつの世界を目指したが叶わず

  共産主義は、表向きは人間性に溢れた優しい社会(ラジカルな平等主義:結果平等)を目指したが嘘だった。
  共産主義の実態は、粛正という殺戮の権力闘争であり大衆にとっては恐怖政治

  崩壊で西ヨーロッパに、東ヨーロッパの製品が流れ込むか、人々が流れ込むかという事態になった。

    資本主義の優位性(成長、完全雇用、金融安定、大衆の実質賃金増加)も、共産主義の消滅と同時に消えたようだ。

 社会主義(高福祉)の行き詰まり

  国家財政の赤字化と国民負担の増加(高すぎる税金のさらなる増加の悪循環)
  高齢化による高齢者向け予算の無制限な膨張と若者、貧困者、企業へのしわ寄せ
  投資意欲と勤労意欲の低下

 平衡断絶期(1996年、冷戦後から2014年)

  第一世界で個人主義の台頭(資本主義の前提である自由の追求から)
  第三世界で宗教原理主義と民族分離主義の台頭(敵である共産主義が消滅したから)
 
  複数の自由貿易圏(EU, NAFTA,...)の誕生と発展

  個人の満足感(個人主義、私中心の消費文化)が、家族(私たち中心の投資文化、我慢文化)に勝る

  政治リーダーシップ欠如(流動的で未来を見通せないが故)
  指導者は大衆文化をコントロールできない、大衆文化に振り回される指導者
  指導者は答えを用意できないと、失望され失脚する
  世論調査してから迎合する政策を採用する偽指導者がはびこる
  おびえている者は安易な答え(例:宗教原理主義や民族分離主義)に飛びつく
  
  資本家は賃金の安い国で労働集約型製品の生産を行うため、第一世界の賃金は低下
  生産性は世界全体合計では高まっている

  アメリカの人口の80%で実質賃金が低下している
    高卒も大卒も実質賃金が低下している
  労働組合が弱い:解雇回避(解雇による賃金低下の恐怖)
  中間層の減少、底辺層の拡大(安売り:ウォルマートの隆盛)
  若い男性の三割は四人家族を養う収入がない(共働きしかない)
  家庭を持つ若い女性の三割は仕事と家事を兼務する現実がある
  ルンペン・プロレタリアート=ホームレス=生活保護対象者の増加

  米国の財政赤字と貿易赤字の拡大

  最上流層の収入の爆発的増大現象による格差拡大
  (中流以下だけでは、格差は拡大していないのではないか)

  家庭の教育投資は子供の自衛のため

  悪循環(大多数の賃金低下が原因の教育不足、生産性低下、中層下層の消失、最上層も没落)の恐れ

雇用と賃金の変化の原因

 技術革新で求められる技能が変わり、高学歴でも賃金格差が拡大した。
 中間層の賃金は低下してきた。

 米国では、労働者の技能が低いため生産工程を単純化するために管理職と専門職が多い
 ドイツと日本では労働者の技能が高く、管理職と専門職が少ない

 米国と比べてドイツと日本では法的に解雇できないので賃金も変化しにくい
 米国は解雇で賃金が大きく変化する

 米国の輸入競合産業(自動車)では、縮小で中間層が多く解雇された
 日本でも輸出産業(自動車、電機)では、正社員(中間層)の採用を控えた

 勤労所得の格差は、人間の能力差よりずっと格差が大きい
 (理由は、成果主義、またその成果は運に強く左右される)

 米国の資本家は、解雇により労働組合を潰したので分配率が低下した
 学歴インフレで実力のない高学歴者が増えたので、高学歴も低賃金化した
 米国の規制緩和した業界は低賃金化した
 米国のベビーブーム後は移民が急増して低賃金化が維持された
 米国では労働者の年金負担が増えたため低賃金化した
 国際競争で商品価格を下げるために賃上げはできなかった

 普通の労働者にとってネガティブ・サム・ゲームとなった

高齢社会の影響

 勤労者の医療費負担の増大
 勤労者の年金負担の増大

高齢者の実態

 勤労者より裕福、福祉の充実と過去の若いときの個人の貯蓄のため
 現在の高齢者は浪費家でないが貯蓄もしていない
 老人が個人主義となると、孫(未来)への投資を削減する

貯蓄率

 アメリカの貯蓄率はずっと低下してきた
 過去に貯蓄率が高かった理由は、年金や医療保険、クレジットローンが無かったし、預金金利も高かったから

 (1996年の日本の貯蓄率は高いが、2014年はとても低くなった)

 政府が年金や医療保険を廃止してもクレジットローンがあるので貯蓄率は増えないだろう

技術革新の効用

 技術革新こそが社会発展の推進力、イデオロギーはゴール目標を示すだけ

 技術革新を続ける国家が優位だが、資本主義だけでは教育と基礎研究が置き去りとなり技術革新が停滞する

 工場とオフィスは、労働集約型から技能集約型に移行
 技術革新とグローバル経済で、第二世界と第三世界も豊かになれる
 節約型技術ばかりで単純な規模拡大経済が成り立たないため第一世界の成長が鈍化している

 情報技術の革新で在庫投資、株式投資などではトレンドに拍車がかかる

 情報技術、金融技術の革新で特定の政策を追求する利益団体を低コストで高速に組織できるはず。
 技術革新で間接民主主義から直接民主主義も可能に

研究開発のジレンマ

 研究開発の場所は、第一世界
 研究開発の成果は、第二世界と第三世界(工場での雇用、市場での販売)に拡散する
 (研究開発の第一世界の大衆へ貢献とは、新製品の登場、製品価格の低下などで、雇用と賃上げに結びつかない)
 ジレンマがあっても、第一世界は研究開発を止めることができない

 研究者に資金を渡して自由に研究させると成果は得られない。
 成功と失敗がはっきり識別できる目標、期間、予算を設定することが大切。

基礎研究のジレンマ

 合理的資本家は、10年以上かかる長期の基礎研究に投資できない。

 アメリカ政府は共産主義の脅威から国家を守る名目で軍事費に基礎研究費を含めてきたが、、、
 冷戦終了とともにアメリカ政府の基礎研究予算が削減された。

 基礎研究の成果は、第一世界の外国(日本)にさえも、ただ乗りされてきた。

 政治家は支持を得るため低水準技術産業に補助金をばらまくため、有権者の少ない基礎研究の予算を削減する。

 基礎研究が進まないと応用研究も停滞し技術の進歩がやがて止まる。

世界の警察官の幻想

 湾岸戦争以来のアメリカのビジョン(世界の警察官)もアフガン・イラン撤退後は、色褪せた。
 テレビの力で、自国兵士の死を受け入れられない国民となった。
 使わない使えない軍備への予算削減要求が出てきた。
 解決策:同盟国(日本、フィリピン、韓国)への軍事分担要請。

 アメリカの政治家は口では孤立主義ではないというが、可決される法律は孤立主義のものばかり。
 
GDP国際比較

 購買力平価(同じ物を買うときの豊かさ)を使うか、為替レートを使うか

自由貿易圏とグローバル化

 自由貿易圏:EU, NAFTA, TPP, 個別FTA

 熟練工程は第一世界で、単純工程は第三世界で行える
 第一世界では、大衆の賃金と物価の水準が低下していく
 第二世界と第三世界では、賃金と物価の水準が上昇していく
 第二世界と第三世界は第一世界への輸出(戦後の日本方式)を希望している
 (従来の輸入代替え(=輸入から国内産業育成)から輸出型)

 第一世界では、自由貿易で利益を得る者が多数だが、利益幅が少ないので無関心
 第一世界では、自由貿易で損失を被る者が少数だが、損失額が大きく強硬に抵抗する
 第一世界で自由貿易を拡大するには経済の枠を超える大きなビジョンで説得が必要

 1996年の貿易構造
 日本は、加工貿易でほぼすべての国に対して黒字貿易をしている、対米黒字が一番大きい
 世界は日本との貿易赤字を対米黒字で解消している。

 米国のとるべき戦略=対応の原則
 アメリカの赤字はいつか消えるはず(しかし、2014年では無くならず拡大の一途だ)

 英語とアメリカ文化による世界の均質化、民族文化側の抵抗

アメリカ合衆国の自由貿易

 世界の諸国すべてが米国への輸出で稼いでいる

 米国の狙いは分割統治

 1996年当時は、NAFTA, EUとの関係があり環太平洋貿易プロックに関心は少なかった
 2014年、アメリカは、TPPで環太平洋の自由貿易を推進しようとしている

ドル

 ドル下落もアメリカはインフレ加速しない事実(外国製品が値下げされたため)
 ドル下落の防衛(利上げ、緊縮財政)には、アメリカのリーダーシップ維持を目的に持ち出すしか無い
 アメリカの切り札はドルの発行だが、これはドル暴落も招く手法

インフレとデフレ

 インフレ退治の結論は、金利引き上げと政府財政引き締め

 歴史上、10%以下のインフレが経済の成長を損なうことはない
 経験上、経済は2%のインフレが一番うまくいく

 インフレ率0%以下は、そもそも資本主義経済ではない
 デフレになると経済活動(消費と投資)が冷え込み経済成長しなくなる。

政府の財政赤字
 
 景気後退局面でも財政赤字のため政府は、積極的景気刺激策をとれない
 景気後退局面で企業は政府に期待できないので、値下げせざるを得ない

 グローバル経済の発展により一国だけでケインズ政策=公共投資拡大をとっても効果がない
 好景気時に増税と支出削減をするべきだが、不人気政策なので実施されることはない(赤字拡大の原因)

 財政赤字が原因で長期投資(教育、基礎研究)を実施できない

 アメリカ(日本も)は、年金への所得税課税を実施した

人間主体の頭脳産業の時代(サローの主張)

 現代では、企業帝国が、物質的に征服に値する物や領土は、もう無い。
 技術の進歩により、土地、資源、資金から技能と知識が競争の優位をもたらす唯一の要因となった。

 知識(速く正確な情報)が力(小売業>製造業、現場>会議室)
  トップの判断力を現場に身につけさせる方法が必須

 頭脳と想像力、発明、新技術の組織化が戦略的優位をもたらす
 機械ではなく人間の頭脳こそが戦略的資産
 しかし、奴隷制の廃止、人権尊重により他人を資産として所有することはできない
 仮に奴隷として所有しても、他人の頭脳や精神を所有することはできない
 
 競争の優位は、最先端の機器にあるのではなく、その機器を使いこなす頭脳である

 起業家(アントレプレナー)とは、優秀な頭脳を集める知識を持つ者
 規模の経済を追求する産業資本主義から、優秀な少数の頭脳をネットワークする方向へ
 成功するための知識は幅広く奥深いため、優秀な頭脳労働者がチームで協力することが必要

 優秀な頭脳労働者を長期間確保するために企業と労働者双方のロイヤリティが必要な時代、
 にもかかわらず、多くの企業は、今の競争に勝ち残るために労働者を解雇し賃金を下げて、
 終身雇用、実質賃金の上昇という要素が消滅しつつある

 政府は、平和維持(防衛)、自由と公正の維持(治安、独占抑止)だけでなく
 成長のための公共投資(教育、インフラ、基礎研究)を行う必要あり


頭脳産業の新経営スタイル

 頭脳産業とは:投資銀行(日本の証券会社に相当)、法律事務所、監査法人、コンサルティング会社

 非上場、パートナー社員が株式所有
 給与所得の大半は、実績に応じてボーナスで支給
 ボーナスは、ストックオプションの形式で退職時に現金化可能
 CEOの役割を縮小し、パートナーの選挙で選出
 パートナー社員の大きな裁量権

 (経済学者のサローは、具体的な企業として投資銀行は見抜けたが、
 技術系の企業、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロプロセッサ産業、
 ケーブルテレビ産業、シェールオイル産業については方向感だけの提示だったようだ)

人的資本の特徴

 人間を所有できない
 人間への教育投資は期間が長く、リスクも大きい
 必須な知識への投資は、消費文化環境からは生まれない

教育

 親にとって子への教育投資の合理的目的は、自立させ扶養の必要がなくなること。

 個人にとって教育投資の収益は、U字型を描く(初等教育と大学院は収益効果あり)
 個人にとって大学程度までの教育投資は、生涯賃金が低下しており収益率が低い。
 個人にとって教育投資は、失敗のリスクが大きい。
 教育投資は、期間がかかりすぎる。
 教育投資をしなくとも、新製品を購入することで、一定の恩恵を受けるただ乗りができる。

 資本主義の原理に従えば、大多数の親は子供に教育を受けさせる必要は無い。
 資本主義の原理に従えば、市場が必要とする技能を持つ人材が不足する。

 公教育(義務教育)とは、強制的に教育を受けさせる制度で国家を底上げして強くする制度。
 国家にとって公教育の投資は、社会の平均賃金を上げ、治安維持費を下げるため、収益率が高い。
 義務教育のない国は、必ず文盲がいる。

 中程度の技能を持つ人が、アメリカは不足している。
 見習い制度のあるドイツと日本では中程度の技能を持つ人が、充足している。
 民間企業の教育投資は、U字型効果により初等教育と優秀な者に集中する。
 財政赤字により公教育は削減されている。

 人間にとって最も価値がある技能は、グローバル経済で活躍できる能力だろう。

資源の重要性

 水 > 食料

メキシコ通貨危機(1995)の教訓

 1994年夏まですべてがうまく行っていた(財政赤字解消、規制緩和、民営化、NAFTA加盟、7%インフレ)
 経済の罪(固定相場、政情不安、外国資金引き上げ、貿易赤字)
 投資家の信任を回復するためのあまりに重い罰で経済が崩壊した

 教訓:政治安定、変動相場制、高貯蓄率、貿易黒字

共産主義中国の特殊性

 個人貯蓄率40%が高い、政府の賢明な市場開放政策、華僑商人、国有企業18%が少ない
小国家の成功

 香港、シンガポールの成功は国民が少ないことが不利にならないことを証明した

ヨーロッパの特殊性

 アメリカより集団主義が強い社会
 ヨーロッパでは過去20年(-1995年)で失業率がアメリカの半分から二倍以上に膨らんだ
 ヨーロッパでは社会福祉の公共部門の割合が80%もあり(アメリカは55%)すぐ財政赤字になった

 輸出が強いドイツのみが成功しており他のヨーロッパ諸国は成功できていない
 ヨーロッパでは中堅企業が大企業に成長できていない実態があり生産を規制の少ない国に移転している。

日本の特殊性

 ヨーロッパより集団主義が強い社会

 第二次世界大戦後、資本主義競争の勝者の国(1991年のバブル崩壊まで)

 世界に先行する高齢化社会
 既得権益層の固定化
 本物の起業家の希少化

 国として世界でリーダシップを発揮せず模範生として振る舞う戦略
 (日本の首相の顔は世界では誰も知らない)
 官僚の終身雇用制による対米交渉の粘り勝ち作戦
 国内でも外国でもリーダーシップを発揮できない政治家

 外国人にも平等に機会を与えることができない社会。
 優秀な外国人の登用をしない社会

 年々拡大した世界一膨大な国家財政の累積赤字
  1996年から20年間に必要とされる改革は、戦後の改革より大きいはずだが、日本の改革は不可能に見える
 (実際に改革はできておらず、失われた20年と言われている)

 企業の利益率がとても低い利益を生まない資本主義(失われた20年とも言われる)
 1996年当時は、膨大な貿易黒字(2014年では市場開放しないまま貿易赤字に変わった)

 日本人は発明(インベンション)はできる。
 日本人には技術を使って新しい社会を築く(イノベーション)の価値観がない。

 日本語しかできない閉鎖された単一民族の社会
 日本人ほど中華思想(自民族が一番で世界の中心という思想)の強く心を閉ざしている国はない。
 日本はこれまでの環境に最も適応した国だけに、平衡断絶期に最も打撃を受ける懸念が大きい。

 各国はグローバル経済の変化の流れに乗らなければならない、さもなくば経済的に衰退する

個人の財産の増やし方

 人生の寿命には限界があるので勤労所得に限界はあるが、富には限界はない
 ビルゲイツのように巨大な富を得るには、能力(努力)と幸運が必要だ
 そこそこの富を得るなら、能力と努力でなんとかなる、いまだこれが可能である
 平均の努力(能力と忍耐)なら平均の富しか築けない
 努力しない者は資本主義から脱落し、民主主義の庇護下で最低限の生存だけが許される

 お金持ちは現金払い、貧乏人はローン払い
 私は、現金払いできるまで消費しないことが財産を増やす秘訣と思われる

サローのこれからの資本主義

 資本主義が今後も成功を収めていくいくには、消費から投資による建設のイデオロギーに変化する必要がある。
 建設のイデオロギーとは、技能を高め、技術を革新し、物を創造して成長することである。

 成長への道程は、でこぼこ道で騒々しいが、楽しいことが多い。
 建設のイデオロギーでは、一旦消費を抑え資金を貯蓄して投資にまわすが、これはどんな消費より楽しい。

 創業者が経営権を持つ企業は、建設のイデオロギーで行動し、はるか遠くまで展望している。
 (1995年当時ならマーズ、ウォルマート、ミリケン、マイクロソフト)
 自営業者は、建設者であり、消費者、勤め人、投資信託の不在資本家より貯蓄も投資もはるかに多い。
 全員は自営業者になることはできないし、その必要もない。

 裕福になりたい消費者、勤め人は、まず小口の貯蓄者(米国流なら株式投資)になるとよい。

 将来ヒーローになるのは新しい産業を築く人たちであり、アダム・スミス流の資本家でも中小企業経営者でもない

サローによる政府のこれからの役割

 政府は、社会が持続的に繁栄するように、現在よりも将来の利益を代表する子供に投資する。
 アメリカは、国民の教育水準を世界一にする

 政府は、社会が持続的に繁栄するように、基礎研究に投資する。
 例えばアメリカは、日本とヨーロッパの高速鉄道に負けない高速交通を用意する。

 技能、教育、知識、インフラへの長期的な社会投資の必要性を訴え実施する。

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以下は私のアイデア

私が見た日本の現状

 日本では、誰でも貯蓄することで、間接的に投資を行うことができる。
 日本では、誰でも株式を購入することで、資本家になれる。
 しかし、日本では、投資家になることに興味がある人は少ない。

 結果的にアメリカの流れに約10年遅れでほぼ追従している。
 (終身雇用の崩壊、中間層の縮小、底辺層の派遣社員、バイト・パートの拡大)

私の考える国家繁栄の定義

 平和と安全
 諸外国より豊かな賃金と安い物資
 個人の繁栄、家族の繁栄、企業の繁栄、国家の繁栄の同時追求
 現在の繁栄が将来も期待できる安心感

 変化する時代に追随するため、憲法も、30年に一度変更することを憲法に規定する
 新しい時代に合わせて憲法を変更するとよい。
 
私が考える民主主義と資本主義の未来

 資本主義は民主主義の体制内で行われる最大のゲーム。
 誰もがゲームを楽しめるようにしなければならない。

 民主主義は資本主義というゲームを公正・円滑に進めるために、巧妙でシンプルなルールを作り運営する
 巧妙でシンプルなルールは、多様な価値観で共通項になりうるものとする。
 (機会の平等、独占の禁止、適度の累進課税、社会インフラとセイフティネットの整備)

私の資本主義の新しいインセンティブ

 生活のための勤労は、義務である
 公正に金を稼ぐことは、社会に貢献する
 所有する資金を消費するか貯蓄するかあるいは投資するかは、個人の自由である
 個人が自由に選好できることは、一つの幸福である

私が追加したいこれから政府の役割

 公正な民主主義と資本主義を実現する

 政府は四権分離とする、つまり、立法・行政・司法・日銀。

 勤労者と引退者だけでなく、将来の利益を代表する子供の意向を公正に政治に参加させるため
 選挙権のない子を持つ親に、その子供の人数だけ投票権を多く与える。

 社会の仕組みである、資本主義のゲームの仕組みと政府の役割と個人の役割を教育する。
 社会規範を守ることが、個人と社会の双方の最大の利益となることを教育する。

 政府は、資本主義のゲームの審判として公正な自由市場を維持する。
 政府は、公正に努力した個人の平均収入がそうでない個人の平均収入を上回るように監視する。
 政府は、公正に努力した個人・法人で運良く自由市場に認められた者が最上の収入を得られるようする。
 政府は、合併吸収による法人の競争力強化を推奨する。
 政府は、市場の独占者を規制し、最大多数の利益になるように、品質・納期・価格の改善を命令する。
 政府は、中層およびそれ以下の収入の大多数の勤労者に勤労感謝金(ヘリコプターマネー)を配る。
 政府は、個人が脱落しても最低限の生活ができる基礎社会福祉(セイフティネット)を用意する。
 政府は、原則として、個人・法人の利益追求と社会全体の利益追求が衝突する市場問題は自由市場にまかせる。

 税制と規制は、公正さを保つため、簡単に少なくする。
 所得税率と保険料率の所得累進率は二倍以内とする。
 補助金、支援は、個人に対するものだけとする。
 法人への補助金、支援はしないしかわりに規制は最小限とする。

 政府財政は、均衡財政とし、赤字は翌年度増税、黒字は翌年度還元とする。
 ただし、大災害の復旧費は、日銀から借り入れできるものとし、長期償還する。
 政府は、小さく無駄の無い組織とする、福祉まで入れてGDP比率で30%程度を目標とする。
 政府は、平等な基礎的社会福祉のみを実施し、追加の福祉は民間企業の市場競争とする。
 政府は、民間商品の実用化、商品化、コストダウンという応用研究をしない。
 政府は、期間が30年以上となる基礎研究あるいは成果が不確実な基礎研究への投資をしない。

 政府の核となる役割は、平和の維持つまり国防、治安の維持つまりと警察と司法、さらに災害対策と救助。

 政府は、経済発展を長期間拡大するべく、市場に先んじて、社会への長期的投資(10年以上)を実施。
 政府は、短期投資を担当しない。
 社会インフラ(環境保全、資源保護、輸送交通網、通信、エネルギー、水道)の整備と維持
 義務教育、職業教育の実施と補助。
 科学技術の長期の基礎研究。

 政府は、すべての人に必要となる最低限の文化的生活までの基礎的な社会福祉だけを実施する。
 基礎老齢年金、基礎障害者年金、基礎育児手当、生活保護
 基礎健康保険、基礎失業保険、基礎介護保険、基礎保育保険

 政府保険利用では、年齢性別などにかかわらず公平な個人負担率を伴う。

 生活保護受給者への生活指導と職業教育および財産監視を行い、本人の利得と財政均衡を助ける

 雇用での性別年齢での差別禁止、人数に対して一定率の解雇の権利を認める
 雇用契約は期間契約あるいは定年契約のいずれか、定年は法律で決める

 投票権のない法人の政治献金を禁止し、個人の政治献金のみとする
 一定値を超える高額の政治献金には、金額と個人の居住選挙区の公開義務

 多数派の一人一人が小額の政治献金を実施できる技術の開発
 政策別に政治献金できる公開される技術の開発

 公正な報道を確保するためにメディア規制を実施
 放送ニュースの無料化の義務付けとニューススポンサーの禁止
 誤報と訂正の永久公開
 排他的な取材利権の廃止
 個人、法人の取材拒否権と反論権の確保