そもそも、グローバリズムとは何か、自分達は、どこまで理解しているのか確認してみましょう。
英語のWikipediaでは、グローバリズムの定義は、人によって異なると、最初に説明しています。
日本語のウィキペディアでは、多彩な意味があるといいます。
日本人の一部は、そもそも英単語の意味を調べずに用語グローバリズムを使うので、話が噛み合わない事になります。
「グローバリズム反対」と叫ぶ人がいますが、その主張を具体的に読み取らないといけないでしょう。
グローバリズムの具体的課題を見ていきましょう。
具体的課題
どの商品(資源・農産物・製品)の貿易を、禁止するか、許可するか、関税を掛けるか。
外国人にサービス(電話・放送・インターネット・その他)を使わせるか。
外国人にお金(銀行・為替・株式市場・債券)を使わせるか。
外国人に事業(会社設立経営・土地・資源開発・交通電力インフラ・)をさせるか。
外国人の入国を自由にするか
外国人の居住を自由にするか
外国人の就業を自由にするか
外国人の国籍取得を自由にするか
世界人権宣言(男女同権、人種差別禁止、年齢差別禁止、言論の自由、宗教の自由、私有財産の保護)の実施を強制するか
政治に自由主義を強制するか
政治に普通選挙の民主主義を強制するか
刑法の罪を世界共通にするか
税法の仕組み税率を世界共通にするか
その他の法律を世界共通にするか
健康保険を世界共通にするか
年金保険を世界共通にするか
その他の福祉を世界共通にするか
ある企業が、国内の工場をつぶして海外の工場で生産することは、国内であるいは海外で許されるか
ある企業が、海外で商品・サービスを販売することは、国内であるいは海外で許されるか
ある民族が元々の国で、古来の生活習慣・宗教・言語を維持し自由民主主義に反することは許されるか
ある国が、国民の一部を思想が異なるとして監禁迫害洗脳虐殺することは許されるか
国籍取得した移民が出身国の言葉をいつまでも話している事は許されるか
国籍取得した移民がある地域に固まって出身国のスタイルで生活する事は許されるか
ある国には物を売らない、高く売る、量を制限することは許されるか
ある国にはサービスを使わせないことは許されるか
一部の国でグループを作り、その他の国を仲間外れにすることは許されるか
全国民に英語を勉強させることは許されるか
資源がなく、技術もなく、観光地もなく、お金もない国は、どうすればいいのか。
例 低賃金を生かして資金のかからない軽工業(繊維業など)をまず導入する
例 英語を生かし教育して資金のかからないソフトウェア開発に力を入れる。
工場が外国に移転してしまった国はどうすればいいのか
例 新製品を作る
例 ロボット化で安く作る
例 別の人間相手の仕事を作る(高齢者介護)
例 低賃金で工場で働かせる(バイト、パート、派遣、発展途上国の外国人)
収入が減ったり、失業した人はどうすればいいのか
例 低賃金で働く
例 生活保護を得る
例 技能を身に着けて新しい職に就く
例 生活費の安い外国に移住して、これまでと同じ職に就く
グローバリズムの反対語の一つは、ナショナリズム(Nationalism)です。
グローバリズムに徹底的に反対するなら、極端なナショナリズム・鎖国となるはずです。
さらにつきつめれば、国の中でも県境を閉じる必要が出てきます。
江戸時代では、領民が藩や村から勝手に出られませんでした。
ナショナリズムにとって、幕藩体制や尊王攘夷が理想の体制です。
しかし、江戸時代の政治体制に戻れば、どんどん交易がなくなり、国は貧しくなります。
人間は一人で生きるより、分業して金品を交換して生きることが経済的に効率的だと、直観的に知っています。
歴史を調べれば、経済の発展は、技術の発展に支えられて来ました。
工場技術だけでなく、流通・交通・輸送・通信の技術、通貨の発行・交換・決済の技術が発展したので、地球規模で分業が可能になったのです。
18世紀のイギリスの自由主義経済学者アダム・スミスが『国富論』で述べた分業が、デヴィッド・リカードの予言通り、国際分業として発展しているだけだとも言えます。経済学では、「グローバリズムは、人類文明の進化の必然である」となりそうです。
グローバリズムに大声で反対を言う人は、その人の立場で都合悪いグローバル化にだけ反対しています。その人が損をしないグローバル化にはまったく関心はありません。騙されないようにしましょう。
日本は、人口が多すぎて、エネルギー自給率8%、食料自給率38%、資源自給率(鉄0%, 木材30%)です。工場を動かし製品を売ることで、エネルギー食料資源を買って生き延びているのです。日本は、国内経済だけで生きていけないのは明白です。日本は物品の自由貿易というグローバリズムが否定されると生存できません。
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