U.K.(英国)で行われたEUからの離脱を問う国民投票では、離脱派が僅差で優勢となりました。ところが、直前の世論調査の予測が離脱傾向から残留傾向へと変化していたことを示していましたし、賭け事好きな英国の伝統であるブックメーカーの掛け率では、残留への賭けが圧倒していました。だから、私も残留と信じていました。が、実際は僅差で離脱となりました。イングランドの残留派の若者達は、残留濃厚の報道で安心してしまい投票に行かなかったからでしょうか。私個人は、円高と株価の急落で大きな含み損が出ました。
今回私が得た教訓は、三つ
- 投票に行って悔いる方が、投票に行かずに悔いるよりマシだ
- 大量の移民は、国民の感情を害し争いを生み出す悪である
- 明日の為替と株価は判らないが、長期的には楽観するしかない
です。
英国企業が移民を受け入れてきた理由は、移民は賃金が安くても良く働くからです。企業の生存をかけて利益を追求して、安い賃金の人を雇用することは合理的です。
貿易を行う国家間の経済格差は、平準化する方向に歴史は進んで行きます。先進国は、それまでのやり方では儲からなくなり賃下げとなり改革を迫られ、後進国には工場ができて発展し賃金が上昇します。
政策として安い賃金の移民を国内に流入させたことは、英国民の失業を招き、相容れない文化、たとえばイスラム原理主義との軋轢を生み、英国内を混乱に陥れました。「言語・思想・宗教・習慣の異なる民族は、別々の国に分かれて暮らすことで、より多くの民族と人々が幸せになれる。」という事実を歴史(EUと英国の動きや日本の朝鮮併合と敗戦など)は示しています。人種差別をしないことと離れて暮らすことは、両立することです。
上手な先進国とは、必要な時に必要な改革ができる先進国です。
官僚支配の強い日本では経済的既得権が邪魔してしまい大きな改革の導入は困難です。日本の歴史では、戦国時代の秀吉の天下統一、関ケ原の合戦、明治維新の倒幕の内戦、太平洋戦争の敗戦といった血を流す大戦争でしか大きく制度は変わっていません。3.11の大震災・原発事故程度では制度はほとんど変わりませんでした。制度を公正で自由なものに変える原動力は、技術革新と年月であり、ゆっくりとしか変わりません、戦争や革命で制度ががらっと変わることは極めて珍しい事です。
現在の日本の傾向は、経済格差を煽り感情論で売り上げを伸ばすマスコミの活躍、弱者の味方の振りをして議員報酬と政党交付金を貪る野党勢力、憲法で禁止されているはずの不公平な救済政策でも仕事が増えれば権力が増えると喜び実施してしまう与党と官僚、敵対国から資金を得て活動する市民活動家、やはり専門家に従うほうがいいのだと信じて疑わない大衆。なんだかんだで誰もが何らかの既得権に組み込まれています。そして、そんな世の中でも上手に稼ぐ人がいます。
経済格差は開く一方です。その理由は簡単で、金儲けの上手い人がわざと損をしないからです。私も含めて多くの人々は、金儲けが下手ですし、金儲けより金使いに忙しいからです。経済格差を差別であるとして不満を述べることは正義とは言えません。現代はだれでも株式を買えて資本家になれ富豪への扉が開かれているからです。経済格差は、単なる金儲けゲーム(タカラトミーの人生ゲームやモノポリーゲームのリアル版)の結果です。野球やサッカーのスポーツの結果と同類です。野球で負けたから格差だ差別だと叫んでもだれも相手にしてくれません。経済格差も同じはずですが、奇妙なことに、経済格差を叫ぶことで道徳的によろしくない金儲けをする人(例、マスコミや政治家の一部)もいるということです。格差への不満を叫ぶのではなく、もっと儲かる商売を興すほうがまともということです。
経済格差が解消できる画期的な政策(たとえばヘリコプターマネー)は、ゲーム参加者の大半が破産して、この自由市場でお金持ちたちの商売が成立しないほど格差が開かないと、導入されないでしょう。でも、公平な金儲けゲームであるために、国民全員に毎年一律定額を配るヘリコプターマネー政策と累進課税の廃止が、景気も良くなる賢く明快な方法と私は信じています。
政治が公正な自由主義を貫けば、国防軍と警察だけの税金の安い小さな行政府に近づき、民間企業の経済活動として改革が繰り返されていきますから、先進国の中の先進国としてやっていけると私には思われます。が、そのような主張をしても同意してもらえる人は僅かです。その理由は、自分だけズルをして得するという旨味=既得権が無くなるからだと思われます。
日本では、もうすぐ参議院選挙があります。私と同じ考えの候補者は、どこにもいませんが、より公正な自由主義に近い政策を打ち出している候補者に投票したいと思います。
暴力と略奪という権力体制から抜け出し、デモクラシー(民主制)の投票とお金による交換という平和的世界を作ってきた人類ですが、この先の未来はどうなって行くでしょうか。公正な自由主義の世界となることを願います。