Oct 11, 2017

世界人権宣言を学ぶ

世界人権宣言を学ぶ

世界人権宣言(UDHR, Universal Declaration of Human Rights)
 日本語訳(前文-第十三条第十四条-第三十条) 英文

世界人権宣言は、人間の自由(freedom)、社会の正義(justice)の実現、世界の平和(peace)を目的とする宣言で、恐怖のない世界、欠乏のない世界を願って、1948年12月10日に第3回国際連合総会で採択された。

人間は、専制と圧迫により権利と自由を奪われると反逆し、戦争状態(内乱=市民戦争、国際戦争)になってしまう。平和のためには、人間の権利と自由を認め与えることが大切だという宣言である。

世界人権宣言では、人間の権利と自由に、何があるかを明示しているが、その権利と自由が、どこの誰から与えられているかを暗示もしている。

第一条に、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」とある。しかし、「生れながらにして自由」と「尊厳と権利とについて平等」な根本の理由は、一体何か。それは、自分が他人の権利及び自由を承認及び尊重するからだ。それによって他人もまた相手の権利及び自由を認める、相互関係だけなのである。具体的には、第二十九条の2の「すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当っては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。」とある。国民全員がその約束=法に従うことで人権が確立するのだ。

では、権利と自由を概観してみよう。

 人間は法の下において平等

 生命の安全に対する権利
 身体の安全に対する権利
 財産を所有する権利

 言論の自由
 思想、良心、信仰の自由
 平和的集会及び結社の自由
 結社に属することを強制されない自由

 国内での移転及び居住の自由

 国籍を持てる権利
 どの国からも出国の自由
 自国への帰国の権利
 迫害を免れるため他国に避難する権利

 平等の秘密投票による普通選挙での投票の権利
 立候補の権利

 奴隷禁止
 拷問禁止
 公開裁判を受ける権利
 法によらない逮捕、拘禁、又は追放の禁止

 職業選択の自由
 社会の文化生活に参加の自由

 男女の同権
 婚姻の権利と両当事者の自由かつ完全な合意による婚姻の成立
 家庭が国家から保護を受ける権利
 私事、家族、家庭の不干渉
 通信の秘密

 社会保障(経済的、社会的及び文化的)を受ける権利
 勤労の権利
 公正かつ有利な勤労条件を求める権利
 同等の勤労に対し同等の報酬を受ける権利
 労働時間の合理的な制限と有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利
 労働組合を組織参加する権利

 自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利
 生活保護を受ける権利(失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障)

 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利
 児童の社会的保護

 教育を受ける権利、初等教育無償と義務
 教育では人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化
 教育では人類相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持
 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利

 芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利
 創作から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利

 民主的社会の正当な法律によって定められた制限にのみ服する必要がある
 ただし、国際連合の目的及び原則が人権に優先する


歴史

1789年08月26日 フランス人権宣言(人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立、所有権の神聖)
1919年02月13日 国際連盟委員会において大日本帝国が人種的差別撤廃提案を行うも否決される
1945年06月26日 サンフランシスコにおいて国際連合憲章が調印される
1945年10月24日 国連憲章に基づき国際連合が原加盟国51ヵ国で発足
1948年12月10日 世界人権宣言が第3回国際連合総会で採択
 棄権8(ソヴィエト連邦、ウクライナ、ベラルーシ、ユーゴスラビア、ポーランド、南アフリカ連邦、チェコスロバキア、サウジアラビア)
 南アフリカ連邦の棄権(アパルトヘイト維持のため、現在アパルトヘイトは廃止)
 サウジアラビアの棄権(16条の結婚の権利、および18条の宗教変更の自由に反対)
 ソヴィエト連邦の棄権(ファシズムやナチズムに対する批判を十分に行っていない、13条の移動の自由の保障ができないエレノア・ルーズベルトアメリカ国連代表が指摘)
 欠席2(イエメンとホンジュラス)
1950年 毎年12月10日を世界人権デーと人権週間が第5回国際連合総会で採択
1952年 日本はサンフランシスコ条約にて世界人権宣言の実現に向けた努力を義務を負う
1956年12月18日 日本が国際連合に全会一致の承認でもって80番目の国として加盟
1971年10月25日 第26回国際連合総会2758号決議(アルバニア決議)中華民国(台湾)が脱退、中華人民共和国が国連安保理常任理事国と見なされた。
1991年09月17日 大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が国際連合に加盟

終わりに

現在の世界において紛争や内乱は、社会主義(共産主義)を標榜する独裁国やイスラム教徒の独裁国で目立つ。これらの地域では、自由と権利が少ない。

日本政府の取り組みは、ここを参考。

日本では、同一労働同一賃金(同等の勤労に対し同等の報酬を受ける権利)の実現が政治課題である。

No comments:

Post a Comment