福澤諭吉は、一万円札に肖像が描かれている明治時代の偉人で、慶應義塾大学の創設者です。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という名言を記した本『学問のすゝめ』(1872年(明治5年)発行)が有名です。最初の一節を、易しく書き直してみました。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えます。これは、「人間には身分の差別はなく、自分の努力で衣食住をそろえて、互いに相手の自由を認めて、自分の自由を楽しみ幸せに暮らしましょう」という意味です。けれども、この世の中を見渡すと、賢い人・愚かな人、貧乏な人・裕福な人、リーダーになる人・下っ端の人がいます。その違いはどうして起きるのでしょうか。それは理由は明らかです。その人が学問をしたかどうかです。賢人と愚人との差は、学んだ学問の差です。世の中には難しい仕事もあり、易しい仕事もあります。人々に気を配り頭を使う仕事は、難しい仕事です。手足の力だけを使う仕事は、易しい仕事です。難しい仕事をする人は、リーダーとして慕われ尊敬され収入も多く裕福になるのです。だから、たくさんの人を雇う大企業の社長、多くの役人を動かす政府の高官、さらに、医者や学者が、世間で尊ばれるのです。
福澤諭吉は、次のような役に立つ実学を学ぶことを勧めています。手紙や文章の書き方、計算の仕方、道具や機械の使い方。さらに、地理:日本の市町村と世界の国々の暮らしぶり、歴史:人間と国の行動(戦争と平和)の有様、理科:科学の研究成果とその応用、経済:生活と商売のお金の損得の計算、道徳:誰からも信用してもらえるように身の行いを正しくする道。
現代の私達に必要な実学は増えています。英語を使った外国人とのコミュニケーション。財産の使い方と増やし方。個人情報の守り方。スマホ・パソコンの使い方。メール・SNSの書き方。自動車の運転方法。職場で効率よく気持ちよく働く方法。商品の作り方と売り方。起業の仕方。法律を理解して自由に公正に振る舞う方法。
自分の好きな職業に就くために、学校で教わることはよく身に着けておきましょう。誰もが憧れる華やかな仕事、芸能・ファッション・スポーツの仕事は、人からいつも見られている難しい仕事です。学校で教わることは、華やかな人の常識としてとても大切です。
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