「公正なる自由」が、自分の主張です。
部外者の目で見れば、「公正なる自由」を追求することは、正義です。
そして、どのような問題でも、部外者の方が当事者より人数が多いでしょう。
であれば、民主主義の多数決で選択されることは、「公正なる自由」のはずです。
しかし現実では、当事者のモラルが低いときは、「公正なる自由」(=公共の利益)と「私的利益」が天秤にかけられて、「私的利益」を優先させてしまいます。
「私的利益」を優先させず、「公正なる自由」(=公共の利益)を優先させることは、短期的には利益を失うようで厳しい局面にさらされますが、お金を産む源泉である「信用」を強化しますから、長期的には確実な繁栄が約束された道です。
日本には独占禁止法(1947年(昭和二十二年)制定)があります。その目的は、第一条に次のように掲げられています。
第一条
この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
「公正且つ自由」と謳われていますね。日本国憲法も1947年(昭和二十二年)成立していますから、独占禁止法もまた、アメリカの正義と自由の思想が色濃く反映されていますね。
独占禁止法は、強いものには巻かれろ的なヤクザな商売から、我々を守るためにあるのです。
芸能界でのタレントの独立問題を考えてみます。
所属事務所との契約期間が満期を迎えた時、契約を延長せず、独立することは、タレントの自由の権利です。
タレントの芸名が、商標登録され元の芸能事務所に所有されていた場合は、独立したタレントはその芸名を継続使用することができません。トラブル防止には、(1) 芸名を本名にしない事、(2) 契約終了時に芸名をどのように扱うかを契約書に明記しておく必要があります。芸名とはブランド名ですから、所有権や利用権を移転するには高額で買い取ることになります。
独立したタレントが、テレビ等に出演できないように妨害する手立てがあります。元の大手の芸能事務所がテレビ局に、独立したタレントを出演させるなら、所属タレントを引き上げると脅すことです。この脅しは、独占禁止法に違反する行為として処罰されるでしょう。
アメリカのエンターテインメント業界は、芸能人の労働組合「SAG-AFTRA」があり、これに加入しないと芸能人として満足に仕事できないようです。
また、アメリカでは、反トラスト法(アメリカの独占禁止法)、タレント・エージェンシー法、SAG-AFTRAの規定で会社側の機能分割が徹底しており、エージェント会社(出演契約(=ブッキング)を取り付ける役割)、マネジメント会社(タレントの技能を磨き世話をする役割)、プロダクション(映画・番組・CM・舞台を演出・制作する会社)が別れているそうです(参考 鈴木亜美、北野誠…なぜ芸能人は突然“干される”のか?芸能界を歪める芸能プロの“政治”)。エージェント・マネジメント・プロダクションの分離は、日本国憲法で、政府の権力が、立法・行政・司法の三権に分立させられて互いに牽制しあうようになっている構造に、似ていると思いませんか。
アメリカの方法がベストではないにしろ、ベターなんだろうなと感じます。
もし、契約期間満了のタレントの独立を素直に認めないと、芸能事務所の評判と信用がガタ落ちになり、短期的に金銭面で儲かっても、長期的には衰退すると思われます。
であれば、権力を独占している人が、私情や私的利益に流されず、これまでタレントさんに十分に稼がしてもらったことに感謝し、大きな寛容な心でタレントの独立を認めることが、双方の未来にとって良い方法だと思います。
私の主張は、「権力を独占している人ほど、公正なる自由を貫くことは正しくも厳しい道」ということです。
日本が、もっと風通し良くなることを願います。
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