2014年7月1日時点で、自由民主党は、憲法第九条を、実質的に無視してしまう内容である、集団的自衛権の行使が可能であるという立場を閣議決定した。
「集団的自衛権の行使」が閣議決定された背景には、軍事同盟国のアメリカ合衆国からの要請、日本国をとりまく世界情勢がある。つまり、合衆国はもはや日本国を守り通す余力がないという現状、さらに日本国の隣国である中国、韓国やロシアの海洋侵略の野望だ。そこで、日本が領土と領海を守るには、アメリカだけでなく、日本と直接国境を接していないが日本に近い国、フィリピン、ベトナムらと連携を深めること、隣国とは仲が悪いが隣国の隣国とは仲良く出来るという戦略の実現だ。このためには、フィリピンベトナムと連携できるように、集団的自衛権の行使ができることを宣言すること、これが得策という目論見であろう。
第二次世界大戦の中の局地戦である太平洋戦争でアメリカに敗北し、その後、アメリカ合衆国の軍事基地を日本国内に数多く設置されたまま軍事同盟を続けてきた日本国にとって、今回の戦略は、客観的に見て良い策である。
本来なら、自衛隊を国土の平和を守る国防軍と明確に憲法で位置付けしたい、つまり憲法改正を党是とする自由民主党である。が、しかし、その憲法改正案が、まだまだこなれた内容になっておらず、とても国会に提出できる内容ではないという状態であることから、緊急性のある集団的自衛権に限った、苦肉の策であると私は推測している。(このような理由説明を首相からしていただければ、納得も多少できるのだが、何故説明がないのか、それも国際外交で刺激せず実をとる作戦なかもしれないが、、、。)
この場当たり的な、「集団的自衛権の行使が可能であるという立場を閣議決定」で、あとニ十年間は、自由民主党は満足してしまうだろう。
しかし、古い憲法の立場はどうなるのか、日本国は法治主義の国だったはずだか、放置主義となってしまうのだろうか。子どもたちに「憲法に書いてあることは、守らなくていいのだよ」と教えるつもりなのだろうか、または「憲法には現実に合わない嘘が書いてある」と教えるつもりなのだろうか、正義を貫く姿勢、信用を守る姿勢、そもそも嘘をつかない姿勢という太古の昔からの教えはこのまま消えてしまうのだろうか。これで自由民主党は保守本流を名乗るに値するのだろうか。これまででは「政治家は選挙のときに嘘の公約を言って当選してから好き放題すればいいのだ」と誰もが感じていたが、「政治家は憲法さえもご都合主義で無視してしまう」と勘ぐられても仕方ない。
私は、国防軍の明記に関する部分的な憲法改定だけでも進めてもらいたいし、その道が、思想とリーターシップの低迷する日本国に相応しい漸進策と考えているのだが。しかしながら、そのような憲法改正の機運さえも、このままでは衰退していくだろう。今のような官僚権威主義の政権が続く限り、憲法改正はありえない状況ではないか。
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