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人口には人口密度という考え方があります。
人口密度 = 人口 ÷ 面積
単位面積当たりに居住する人の数という意味で、
混み具合を表す。
ある程度混んでいないと町として成り立たないが、
町として考えると混んでいるほど、
暮らしにくいことも事実である。
2012年の現代において
人口密度を多いことを誇るのは、
アホと言えそうだ。
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これと同様に車密度という尺度を考えることができます。
小学生向きの素朴な式は、
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車密度 = 車台数 ÷ 道路総延長距離
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です。
実際の車は、乗用車と
それ以外の貨物車、乗合車、特種車で
車長が違います。
つまり「車台数」は、
乗用車台数 + (貨物車台数 + 乗合車台数 + 特種車台数) * 2
とした方がよいでしょう。
道路総延長も片側一車線の道路と片側二車線の道路を
同じに考えてはいけないはずです。
片側二車線の道路は、二倍の延長距離を考えるべきでしょう。
つまり、中学生向きの式は、
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車密度 = (乗用車台数 + (貨物車台数 + 乗合車台数 + 特種車台数) * 2) ÷ 道路総延長距離[片側一車線換算]
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となります。
この式を日本と愛知県について適用すると
(細かい元データは前回記事参考にしてね)
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日本の車密度 66 [台/km]
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[計算式]
(58880553 + (15014987 + 226022 + 1645789) * 2) / 1392048
= 66 [台/km]
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愛知県の車密度 116 [台/km]
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[計算式]
(3936946 +(785433+9871+84401)*2) / 49000
= 116 [台/km]
実は車密度より、その逆数に一定の係数を掛けた、
平均車速の方が、
ドライバーの実感としては良いと私は思います。
日本の車密度 66 [台/km] の式の逆数は、
1392048 / (58880553 +(15014987+226022+1645789)*2)
= 0.015 [km/台]
= 15 [m/台]
乗用車が15[m]に一台いるということです。
乗用車の車長は、ほぼ5[m]だから車間距離は10[m]です。
10[m]という意味は、平均的ドライバーなら、
40[km/時]で走行できる車間距離です。
しかし、実際は交差点や信号機があったり、割り込みがあり
平均移動速度は、30[km/時]程度と考えてよいでしょう。
そこで、車密度の式の逆数を、2000倍すると
その地域の自動車の平均移動速度が求められます。
つまり、平均移動速度の日本の場合は、
平均移動速度
2000 * 1392048 / (58880553 +(15014987+226022+1645789)*2)
= 30 [km/時]
この数字は、日本のドライバーの平均的感覚にとても似ているでしょうね、
そして、平均移動速度の愛知県の場合は、
2000 * 49000 / (3936946 +(785433+9871+84401)*2)
= 17 [km/時] (自転車並みの速度つまり慢性渋滞)
これも、愛知県ドライバーの平均的感覚にとても似ているでしょうね、
そして、平均移動速度の千葉県の場合は、
2000 * (123.8 + 1086.3 + 2750.5 + 35965.5) / (2674288 + (601749 + 10703 + 73174) * 2)
= 19.7 [km/時] (自転車並みの速度つまり慢性渋滞)
です。
千葉県の道路長
http://www.pref.chiba.lg.jp/doukei/douro-gaiyou/genkyou.html
都道府県別・車種別自動車保有台数
http://www.airia.or.jp/number/pdf/01_2.pdf
そして、平均移動速度の富山県の場合は、
(富山県は全国一ぐらいに道路が整備されていると自慢されています)
2000 * 12875.3 / (681416 + (160219 + 2135 + 19397) * 2)
= 24 [km/時] (それでも全国平均より低い数字です!!!)
富山県の道路長
http://www.pref.toyama.jp/sections/1015/lib/survey/h14/_07/_rep/report068.html
都道府県別・車種別自動車保有台数
http://www.airia.or.jp/number/pdf/01_2.pdf
最も急速な富山の道路の拡張
http://www.tuins.ac.jp/~ham/tymhnt/kyodo/kotutush/doro/doro.html
いったいどこの県が、平均移動速度が高いのだろうか、、、
候補は、
島根、岩手、秋田、北海道長野、徳島、茨城、
群馬、福島、山形、青森、岡山、高知、宮崎です。
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車密度の考え方は、
ネットで検索してもあまり見かけませんが、
いったいどうして見かけないのか、
さっぱり理由が判りません。
渋滞を研究している大学の先生がいるのに
小学生でもわかるようにこの式について
考え方が普及していないなんて、、、
何か忘れているのでは、と思います。
代りにある数字は、
国土交通省の道路統計年表にある、
道路平均交通量とか、道路平均断面交通量(道路混雑率)と
いって測定に手間とお金がかかる数字ですね。
多分、道路平均交通量なんてものは、
実感とかけはなれてしまうことが多いはずです。
平均してしまうことで、朝晩の車通勤の混雑が
薄められてしまうからです。
つまり、平均をとれば、ピークがなくなり、
統計がなだらかになる。
道路平均交通量は、
人口過密、車過密地域に不利な計算方法ですね。
車密度の式は、
全部の車が一斉に道路を走り出したらどうなるか
という意味であり、
朝晩の車通勤の混雑や
休日行楽シーズンの大渋滞を
表す指標と言えます。
交通というものは、
平均だけで捉えてはいけない。
ピークについて忘れると
肝心の物(実感)を忘れてしまう
ということになりそうです。
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