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Feb 23, 2014

生産性とロボット化と賃金と雇用の未来

生産性とロボット化と賃金と雇用の関係をもっと分析してみよう。

いままでの考え方

いままで労働者がしていた業務を
ロボット化やコンピュータ化すると、
ロボット化やコンピュータ化は費用が掛かるが、
その労働者は不要になる、
その労働者は解雇され企業は賃金を支払わなくなる
掛かった費用と掛からなくなった費用を相殺して、
利益で出る場合と出ない場合がある。

もう少し詳しく考えよう

物を生産するにしろ、サービスを行うにしろ
物とサービスをまとめて、という言葉で表すようだ。

財を産むには、人、金、物と時間がかかる。

財は、費用品質納期の3つのパラメーターで表される。


  • 財を産むための費用
  • 財の品質(機能、性能、安全性等も含める)
  • 財を産むにかかる時間
で、ロボット化やコンピュータ化は手段・方法であって目的ではない。


生産性の向上とは、


  • 費用と品質を変えず、納期を短縮すること
  • 品質と納期を変えず、費用を低下すること
  • 納期と費用を変えず、品質を向上すること


さらに


  • 費用を変えず、品質を向上して納期を短縮すること
  • 品質を変えず、納期を短縮して費用を低下すること
  • 納期を変えず、費用を低下して品質を向上すること





  • 費用を低下して品質を向上して納期を短縮すること


もあるが、同時に二つも3つもは考えにくいので一つずつ分析してみよう。

納期を短縮すること

もちろん費用と品質は最低でも維持されていると仮定する。

納期の短縮がてきたとすると(これが純粋な意味での生産性の向上である)、
働いていた労働者は短縮した時間だけ暇ができる。

ただし、商品は変わらないので、
人気商品で品切れ状態でも無い限り売れる数は変わらない。

したがって仮に労働者が働きすぎると作りすぎとなる。

売れる数は変わらないので、企業の収益も変わらないので
そのまま労働者に同一賃金を支払い続けることができる。

仮に作りすぎると売れ残りとなり損をするから、
やはり労働者は作らずに暇にしてもらうことになる。

暇ができてまったく働かなくてもよい労働者を解雇すれば、
賃金を払う必要がないので、会社は一時的にはさらに儲かる。

解雇してしまうことのリスクは、二つ

  • ノウハウを持つ労働者を失い生産増強時に新人教育の手間がかかること。
  • 解雇された労働者が悪評を広めるかもしれないこと。

誰でもすぐできる簡単な仕事で、他に能力のない労働者なら
解雇される可能性がある。

したがって、
誰でもすぐできる簡単な仕事は、
解雇しやすい条件(業務内容と期間の明確化)でしか雇用されない。

ここで、解雇しないとすると、解は二つある。


  • 労働者を配置転換して新しい仕事をさせる
  • 労働者の就業時間を短くする

労働者に新しい仕事をさせるには、リスクが3つ

  • そもそも新しい仕事が会社になかなか見つからない
  • 新しい仕事は労働契約に含まれていないことが多い
  • 労働者への教育投資が必要となり費用も時間もかかるし失敗するかもしれない

そこで企業側から見た合理的な判断は、労働者の就業時間を短くすることになる

そこで成果型報酬の仕組みと同時に労働契約に導入するべきことは、一つ

企業は短い時間で仕事を切り上げる効率の良い労働者について
労働者が希望すれば就業時間を短くして賃金をそのまま据え置くことが合理的である、
また労働者が別の新しい仕事も追加希望するなら賃金を上げて任せること合理的である。


費用を低下すること

もちろん品質と納期は最低でも維持されていると仮定する。

費用の低下がてきたとすると、これは材料の値下げがあった、
あるいは、部品材料の節約や工程の省略があったということである。

工程の省略とは時間の短縮と電気代等の節約のことであり、
時間の短縮は納期の短縮ですでに説明してあるし、
電気代等の節約は部品材料の節約のことである。

部品材料の節約は、手配調達の時間の節約にもつながるが、
これは納期の短縮ですでに説明してある。

したがって、単純に部品材料の節約を考えればよくて、
これは単に出費が押されられて利益が増すということである。

ただし、商品は変わらないので、
人気商品で品切れ状態でも無い限り売れる数は変わらない。

一時的費用低下はさほど意味がないので除くことにする。

恒久的費用低下で増した利益をどのように使うか、4つある

  • 恒久的節約方法に貢献した労働者に利益を配分する(上策)
  • 商品卸価格にリベートを用意して商品販売力を増す(上の中策)
  • 会社に蓄積して新事業の準備資金とする(中の中策)
  • 株主に配当で配分する(下の中策)
  • 商品価格を下げて商品競争力を増し消費者に還元する(下の下策)

事業の持続性を補強することが、企業存続となるので上策は上2つとなる

恒久的節約方法に貢献した労働者に利益を配分することで、
その労働者は一層の費用低下に励むことになる。

節約できた費用は、膨大なため労働者に利益を配分してもおそらく余るから、
販売代理店へのリベート等に使うことで販売力が増すことに期待できて好ましい。

新事業を興すには多大な投資が必要である。
かなりの蓄積された資金と綿密な企画が欲しい、
そういうアイデアはなかなか出て来るものでもない。
従って資本の蓄積のみとなり有効活用はずっと先となることが多い。

株主に配当で配分するのは、
新事業の準備資金に余裕がでたら行うべきである。

ウォーレン・バフェット流なら、配当ではなく、
自社株の買い戻しの方が株価を上げることになり株主に貢献できるそうだ。

商品価格を下げることは、
すでに購入した消費者とこれから購入する消費者に不公平感という混乱をもたらすので
避けることが望ましい。


品質を向上すること

品質には、機能、性能、安全性等も含めると書いた。

機能や操作性、デザインの大幅な変更は、同一商品ではなく、別商品ということなので、
品質向上とはいえない。

が、しかし、
労働者から機能や操作性、デザインの大幅な変更の斬新なアイデアが出て
それが、新商品新事業へとつながることが自然な事業の発展方法である。

機能や操作性、デザインの大幅な変更の斬新なアイデアは、
新事業のネタとして社内に蓄積し、労働者に斬新なアイデアの報酬を支払うとよい
労働者はさらに良いアイデアを出してくるだろう。
特許の取得はこの範囲に入る。

ここでは普通の品質の向上、いわゆる改善活動である。
すなわち加工での不良率が減るということである。

もちろん納期と費用は最低でも維持されていると仮定する。

不良率が減ることで、材料の無駄が無くなり費用が下がる。
不良率が減ることで、不良品の修理が不要になりこれまた費用が下がる。
結局のところ、不良率が減ることは、費用の低下の話に変わるのである。

不良率が減ることで生産力が上がり納期が短縮できることがあるが、
これはとても酷い不良率(良品が90%以下)のときの話である。

ところで、
サービス業のような人間がかかわる業務では、
一人一人の能力のバラ付きが多く、不良率はとても高い。
サービス業の不良率の改善は、訓練と教育である。
その時間割合は、訓練が70%と精神教育が20%で理論教育が10%でよいだろう。

サービス業の品質事故は、
手直しや出荷停止ができる工場内で発生するのではなく、
お客様の目の前で発生する重大事故であり、
手直しができないと考えたほうがいいし、
対応を誤るとさらに悪い噂となる可能性もある。

サービス業における品質確保のための労働者の訓練と教育の
費用と時間は避ける事ができないものである。

たとえばコンピュータ関連ではマイクロソフトの認定資格とかがある。
もっと幅広く考えて、例えば、
セブンイレブンの店員一級とか二級とかがあるといいだろう。
雇う側も雇われる側も簡単・便利になるというものだ。

千個に三個とか百万個に一個という
日本の高度な製造業の不良率の世界では、
品質向上は納期の短縮にはならない。

もう一度、ロボット化とコンピュータ化を考える

ロボット化やコンピュータ化すると、
ロボット化やコンピュータ化は費用が掛かるが、
その仕事をしていた労働者は暇になる、
これは納期の短縮でおきた時間あまり現象である、
また品質は均一となり不良率が向上し、
費用の削減となる、

しかし、ロボット化やコンピュータ化は機械導入の費用が余分にかかっているので、
不良率が向上して節約できた費用と相殺しなければならない。

今日このごろ、
コンピュータの価格は十分に下がったが、ロボットの価格はまだ高いので、
相殺してもまだ出費が上回ると思われる、したがって一般的には、
ロボット化やコンピュータ化で暇になった労働者の一部を解雇しないと元がとれない
ことになる。

解雇にはリスク(再新人教育、悪評)が伴うので、
経営者としてもできれば解雇はしたくないのが本音である。

[対策]

日本の労働者が解雇されないようにするには、
ロボットとコンピュータの価格を下げる必要がある。

ロボットとコンピュータが安くなれば、さらにどんどん導入されて
それだけ仕事が不要になった労働者は解雇されると
何とかの一つ覚え」のように考える人が多いのだが、
ロボットとコンピュータの価格が人件費よりずっと安い、
たとえば、価格が数ヶ月の給与ほどとなれば、
解雇しなくとも元がとれるということになり、
経営者と労働者双方で解雇せずに労働力使い道を考えたり
労働時間短縮を考えることができるのだ。

解雇された労働者は、別の仕事を探すことになる。

ロボット化やコンピュータ化で暇になった労働者で会社に残った者は、
労働者が希望すれば就業時間を短くして賃金をそのまま据え置くことが合理的であり、
また労働者が別の新しい仕事も追加希望するなら賃金を上げて任せることも合理的である。

最後に労働者のとるべき道を考える

まず社会への要求は、

  • 日本で賃上げを要求することは国際競争に負けて国民全員で貧乏になるのでしない
  • 食品と生活必需品の価格を低下させるよう社会に要求する
  • 食品と生活必需品の価格が低下したらその半分だけ賃金の低下を受け入れる
  • 雇用を守るためロボットとコンピュータの価格を下げる開発をするよう有名企業に要求する
  • サービス業における訓練の標準化とレベルの認定制度を有名企業に要求する

経営者への要求は、
  • 会社内部の同一地区同一労働同一賃金を経営者に要求する
  • 個人の成果による個人ごとの就業時間の短縮と賃金の維持を経営者に要求する
  • 競合しない業種であれば兼業を認めることを経営者に要求する
  • 個人にとって仕事内容が増えるのであればその分の賃金の上昇を要求する
自分と家族のためには
  • 就業時間を短縮してできた時間を自分と家族のために使う
  • 就業時間を短縮してできた時間で兼業をしてお金を貯める
  • ロボット化やコンピュータ化できない人間ならではの職(対人業務、知的業務)を見つける
  • ロボットやコンピュータを操作する仕事に就く
  • 経営者となり事業を興す

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