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Jun 15, 2017

自由主義から見た格差

自由主義の原理

1. 思想・言論の自由
2. 相手の自由を侵害しない限り行動の自由
3. 私有財産の保護
4. 軍・警察の制約、民間での暴力の廃止

自由主義の方法論 = 法治主義

1. 法の下の権利の平等を謳う
3. 法で軍・警察の暴走を禁止、刑法・銃刀法で治安維持
2. 公正な自由市場の監視

公正な競争がされているか
公平な機会が与えられているか
誰でも挑戦できる = 始めることに差別なし
市場独占者の監視と制限(価格操作、品質下落、納期遅れ)
公正な競争の結果を甘受
優勝劣敗を認め、敗者に変化を促す

自由主義の改良 = 敗者の保護

敗者を放置すると、反乱され内乱になった歴史の反省
敗者が命まで取られないように保護する
敗者が再挑戦できる社会

格差と妬み

格差の頂点に立つ者は格差があることを問題視しない。
下の者に追い越されないように努力しているだけだ。
差を付けられた下位のものは二通りいる。
格差を挽回して追いつこうとする者がいる。
格差を放置して上の者を引きずれ下ろそうとする者がいる。

人間は裕福な他人を見ると、「不正な手段で得た財産」と短絡的に思い込むような嫉妬の本能がある。
人間自身は、己の嫉妬心が煽られていないか常に反省しなければならない。

格差を話題にする第一の者は、新聞・テレビなどのマスコミである。
マスコミが格差を煽るのは、大衆の嫉妬心を煽れば簡単に注目してもらえて自分の商売が儲かるからである。
格差を話題にする第二の者は、共産主義者、社会主義者、政府規制信奉者といった全体主義者である。
彼らは、競争相手を打倒するために、謀略を企て、嫉妬ネタで一般人の嫉妬心を煽る。
そして、いずれは、規制により国民の私有財産を税として巻き上げ、自分の懐に金が入るようにするのである。
全体主義者は、自分が階級の一番上に口先だけで永久に座れるように策謀するものだ。
格差を話題にする第三の者は、物事の本質を考えない嫉妬心を好物とする人々である。

格差の種類

(1)精神の格差

思想・宗教・哲学・道徳など人間精神の格差を問題視にする者を聞いたことがない。
どの人も己の信念が一番と信じているからだろう。

(2) 知力の格差

知力に格差がついてしまうことは、誰もが認めている。

日本国では、小中学校の義務教育が100%普及している。
一方で、小学校で必修の分数の計算ができない大学生がいるという。
ということは、分数の計算ができない大人も少なからず居るということでもある。
小中学校の義務教育の内容をほぼ完全にマスターしているような、
例えば都道府県立の高等学校入試問題で平均80点を取れる、
そんな大人は、割合として全体のどのくらいだろうか。

知的能力の格差の原因は、本人がどれだけ学習努力をしたかということが第一である。
第二が知力を重視する家庭環境だったかどうかである。
どこの小中学校に行ったかとか、どこの学習塾に行ったかは第三以下だ。

どこの高等学校と大学を受験することも自由である。
どの地方にも十分な数の高等学校と大学がある。
公正な学力試験で優秀な成績を修めれば、返済義務のない奨学金を獲得することができる。
自由主義国家として、以上で充分であろう。

図書館があり、インターネットがあり、勉強は誰でもいつでもどこでもできる。
高等学校卒業程度認定試験もあるし、
大学入試センター試験の点数が本人に通知されるようにもなった。
これをそのまま国民向けの学力評価テストとすればよい。
知力のある社員が必要な企業は、これら試験を採用基準にしてもいいのではないか。

(3)肉体の格差

親から遺伝で受け継いだ肉体(健康・体力・美貌)の格差は解消がほぼ無理なため問題視にする者は少ない。
しかし、肉体の格差がどんどん開かないように努力=トレーニングすることはできる。
健康・体力・老化は自己管理しなければならないということである。
子供に優れた肉体を与えたいなら夫婦で健康に配慮した方がいい。

男女の肉体の差は厳然としてある。
自由主義の立場では、男女の個人それぞれが自分に適したそして自分の好きな事をすることが幸福であると考える。

(4) 一票の格差

政治に参加するには、投票するか、立候補するかである。
投票も立候補も自由である。

「憲法第十五条3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」とあるので、
たとえどんなにたくさん税金を納めていても一人一票しかないのである。
これで平等と言えるのだろうか若干疑問が残る。

国会議員の選挙区割りの一票の格差がいつも問題になる。
傾向として都市部で当選するには大量の票が必要で、地方部で当選するには少ない票でよい。
最高裁判所は最大で二倍以内に格差を縮めなければ違憲であると判決を出している。
二倍の根拠は聞いたことがなく真意は不明のままであるが、推測すると、
一人一票しかないので格差が二倍以上あると、計算上一人二票ある地域が存在することになるからだ。
世界各国でも一票の格差は二倍以内というのは主流の考えらしい。

納税額は都市の方が断然多く、地方は都市の税を交付されているのが実情である。
税を収めずに都市の税を使うことで優遇されている地方が一票の格差で二倍近く優遇されているという実態がある。
したがって、「地方への配慮は選挙区の配分によってではなく、国会の政策決定の過程で考慮すればいい」が公正ということになる。

日本の政治の現状では、地方は都市より二倍以上選挙権でも税の交付額でも手厚く優遇されている。
本来の自由主義であれば、税は一人一人に平等に配布するべきものだ。
優遇されているにも関わらず地方は老齢化し人工が減少している。
優遇しても効果が少なければ目標とやり方を変更する必要がある。
例えば、地方はだれでも申請すれば特定の相手に対して個人タクシーができるようにするとか、
雨水タンクから飲み水を作る機械のリースとか、バス移動診療所とか、バス移動コンビニとか、村の小型ごみ焼却所とかである。

(5) 納税の格差

税には固定資産税、自動車税、水道料金、消費税、所得税、年金、健康保険、相続税、贈与税がある。

固定資産税は国土を防衛し治安を守り災害を防止ための費用と考えれば土地価格に応じて一定率で支払うことが平等である。
自動車税は道路の利用料金と考えれば、車の重量や排気量とガソリンの使用量で支払う現行方式が粗雑ではあるが合理性がある。
水道料金は使った分だけ支払うので平等である。

消費税は、政府の中央銀行発行通貨の使用手数料として徴収されていると考えれば合理的である。
ただし、クレジットカードの手数料は5%以下であるから8%は既に高すぎるかもしれない。

今の所得税の税率は累進税率で儲ければ儲ける程税率が高くなる。
所得の低い人は優遇され依怙贔屓されているのである。
この税率では憲法の「法の下の平等、財産権」を侵していると思う。
税率は所得額にかかわらず一律であることがずっと公正と思われる。
所得税の徴収理由が正当であるかどうかは、所得税で国政の何の事業を賄うかで決まるはずだ。

年金の納付額は所得に比例するが、上限がある。
若いときに年金をたくさん収めた人は将来多くの年金を交付されることになるが、上限がある。
自分が納付する年金は現在の老人に支払われており、
自分が年金を受け取るときにはそのときの勤労世代の収める年金を受け取るのである。
元々、年金交付額は死なない程度にしか頂けないものなのだ。

したがって、所得の再分配を目的とする生活保護は年金財源でなく所得税財源から交付されることになる。

年金の世代格差をうんぬんする人がいるが、いくら議論しても解決する方法はあまり多くない。
老人世代が勤労世代に子供を産めというのは矛盾している。
理由は、勤労世代が労働して年金納付額を増やすなら足手まといの子供はいない方がいいから。
外国人労働者を移民として受け入れることは、治安維持ができなくなる愚策であることはヨーロッパで証明された。
であれば勤労者一人当たりの所得を増やすしか道はない。つまり、技術革新しかないことになる。

健康保険の納付額は所得に比例するが、上限がある。
病気になるといってもかかる費用には限度があるから納付額の上限がある。
健康保険は病気に罹りやすい人と罹りにくい人の危険率を平準化する政策である。
健康を害するほど厳しい仕事をしていないなら当然より健康であるが所得も少ないだろう。
所得の低い人が優遇され依怙贔屓されているのはそういう理由だろう。

相続税も所得税と同様に累進税率で税率が高くなる。最高税率55%である。
この税率では憲法の「法の下の平等、財産権」を侵していると思う。
相続対象の財産は一度、所得税を支払っていたり、固定資産税を支払っている物である。
したがって二重課税となり憲法の認める私有財産への侵害が目立つ税制である。

世界には相続税の無い国が多数ある。
日本と同等以上の国民所得の国もある。
シンガポール、カナダ、スウェーデン、スイス、
オーストラリア、ニュージーランド、
イタリア、ポルトガル、チェコ、スロバキア、マルタ、エストニア、
中国、ベトナム、タイ、マレーシア
相続税の無い国は金持ちが移住してきてくれるから発展しやすいだろう。

相続税100%を主張する人を見かけるが、単なる嫉妬でしかなく、はっきりとした害毒が二つある。

相続税100%ならば、世帯主が死ねば家と預金はすべて没収され、
のこされた家族は家無しとなり生活保護を受けざるを得なくなる。
それこそ非合理的理由で格差を作ることになる。

また、中小企業のオーナーは、会社の株式を個人で所有している場合が多い。
もし中小企業のオーナーの遺族が最高税率55%で相続税を取られると
株式を現金化するために会社の55%の株を銀行に売り払うことになる。
つまり、銀行や他人に育てた会社を死後に非合理的理由で乗っ取られることになる。
これでは日本で起業しても面白味が無いことになるだろう。

「憲法第二条  皇位は、世襲」であれば、
国民の私有財産は世襲であることによってバランスが取れると思うがどうだろう。

以上から、相続税は廃止するべきものである。

贈与税は不労所得として課税されるが、
元々は課税済の私有財産であるから二重課税である。
贈与税も廃止するべきである。


結論、累進税率と相続税、贈与税は、共産主義や社会主義が嫉妬から生み出した悪霊である。
この悪霊は政府規制信奉者という全体主義に利用されやすい。

(5) 所得の格差

自由主義国家の原則では、所得の格差は、自由競争の結果であり、
当人の努力と運の差であり、私有財産の差であるから、甘受すべきものである。
個人が、高額所得を得たければ実力をつけるしかない。

しかし、日本では、同一労働同一賃金が実施されていないという面がある。
年功序列で人事評価する企業や政府の正社員は、労働内容でなく年齢で賃金が決まる。

年功序列は、短命なピラミッド型人口構成社会であれば何百年でも成立する仕組みだが、
日本のような釣り鐘型あるいは逆三角形型の人口構成社会では維持できない。

男女の所得の格差を問題にする人もいるが、年功序列であれば女性の不利は明白である。
同一労働同一賃金は、男女の所得の格差を解消する効果もある。

正社員として入社した場合と、非正規社員として働いた場合に賃金格差があるというが、
正社員は指示監督業務としての賃金であり、非正規社員は指示に従う労務側の賃金であるから、
金額に違いがあるのは当然と言える。
経営者の視点からすれば、優秀な専門技能をたよった非正規社員は一般正社員よりずっと高くついているのだ。

国の政治問題にしても歴史が証明するように何も解決しない。経営側と労働組合の合意で取り組むべきことだ。

経営側の課題は、従業員の労働内容を区分けし賃金を明確化すること、
今後の雇用契約をさらに柔軟にして、雇用期間、解雇条件を明快にしておくことだ。
労働組合の課題は、解雇規制解除に応じ再就職の差別の禁止運動をすることであろう。

(6) 相続の格差

親に財産があれば、子が何も苦労せずそれを相続する。
親が政治家であれば、子が何も苦労せず政治家になれる。

こういう家柄というか相続にまつわる嫉妬は根深い。
だが、そんな嫉妬をする方が惨めである、嫉妬はすぐ止めた方がいい。

もし、本当に何も苦労せずそれを相続した場合、財産をすぐ失ったり、
政治家なら失言や破廉恥行為で議席を失うだろう。

実は、親の財産を相続をする子供はそれなりに、いや、かなり苦労しているはずだ。
少なくとも一時期とは言え嫉妬心を起こした私よりずっと苦労しているはずだ。

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