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Jan 17, 2013
常温核融合に必要な原子核物理学
常温核融合(CF: cold fusion)の研究は、
アメリカ、ヨーロッパでは、
低エネルギー核反応(LENR : Low Energy Nuclear Reactions)の研究として
復活は盛んに研究され、
安全・低価格・超小型のエネルギー発生装置として
実用化を目指すベンチャー企業も出ている。
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原子核物理学について、調査することが必要だろうと思い
自分の町の図書館に行き
杉本健三さん、村岡光男さんによる
「原子核物理学」 共立出版1988年発行
を借りてきた。
あの1989年のマーティン・フライシュマン教授とスタンレー・ポンズ教授による
常温核融合の発表より一年前に発行された本であり、
今(2013年)から25年前の古い本である。
古い本だが、図書館にあっただけでもありがたい。
この図書館から他に
市村宗武さん坂田文彦さん松柳研一さんの「原子核の理論」岩波書店2001年
もざっと見たが、内容はただただ数式の羅列て私には利用価値がなかった。
(その内容は、原子核物理学からあまり前進していないようである)
もちろん、amazoneで探せば最新の本がいくつかある。
- 原子核物理学 2000年 裳華房
- 素粒子・原子核物理学の基礎 2011年 共立出版
- 原子核構造論 2002年 朝倉書店
発行年から推測する限り、「原子核の理論」と大差なさそうである。
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このプログ記事のポイントは、常温核融合(CF, LENR)の理論の基本として、
物理学の一分野、原子核物理学、の理論が、どの程度使えるかと
素人ながらも推測すること。
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判ったこと1
原子核物理学の実験(少なくとも1990年まで)は、実験しやすい荷電粒子の衝突実験が中心。
超大型加速器で、ごくごくごくわずかの試料(つまり素粒子)を、
超高速=ほぼ光速まで加速して衝突させて、新しい素粒子を探し求める実験。
さらに、核分裂原子炉の核分裂反応を定式化しようして、
原子核の多数の陽子と中性子を数式でモデリングする理論
(要素が多く複雑すきて簡単な数式一つでは表現できないことが読み取れる)
電荷を持たない中性子を使った実験は、
核分裂原子炉からの高速中性子線を利用する方法が主流である。
大量の低速の中性子を利用した実験は、
中性子を効率よく作ることをしていないため、少ない。
原子核物理学では、反応式(原子核と粒子の反応式)がほとんど出てこない。
これは、起こそうと思った反応を精密に起こせないことを暗示している。
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これまでの海外情報から、
常温核融合(CF, LENR)は、
「大量の低速の中性子を利用する反応」と推測できるが、
既存の原子核物理学の理論の未開拓の分野であることは確か。
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判ったこと2
教科書「原子核物理学」から常温核融合(CF, LENR) に使えそうな知識
25ページの中性子散乱
ただし、低速の中性子を入射したときの散乱モデルは良い物がないとのこと
つまり実験値が正しく理論が不備とのこと
この中性子散乱実験の目的が、入射される物質の原子核の密度を計測するためであり、
常温核融合(CF, LENR)とはかけ離れている
55ページからの69ページの 二体問題と核力の 重陽子 中性子-陽子散乱
核力の理解がいまだ現象論にすぎないこと、
重陽子の結合エネルギー 2.2MeV
散乱断面積が負のものもある
153ページからの162ページの 電子散乱
電子静止質量 0.511MeV
高速の電子を、陽子=水素原子核やその他の原子核に当てれば、
中性子ができる可能性が十分あると思われた。
235ページからの294ページの 低エネルギー核反応
反応断面積の考え方(散乱断面積の逆)
遅い中性子による発熱反応
中性子捕獲断面積
複合核と共鳴現象、遅い中性子の捕獲反応 (243ページ)
励起準位密度 軽核 < 1MeV, 重核 < 50keV (255ページ)
形状共鳴と強度関数 で 質量数 A = 約50 A = 約160が共鳴しやすい (277ページ)
質量数 A = 約50 鉄、ニッケル、銅のあたり
A = 約160 ランタノイドのあたり
304ページからの340ページの ベータ崩壊
現在、常温核融合(CF, LENR)の反応系(水素、重水素、ニッケル、パラジウム)で
中性子捕獲後の原子核は、ベータ崩壊が中心と推定されている。
ガンマ崩壊、アルファ崩壊、核分裂などの分析は、今後の課題。
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